『kenta475699』です。
貴重な税金を浪費する四国地方の施設&第三セクターを紹介します。あくまで個人の主観で選んでいることをご理解下さい。
目次
・経済的に苦しい四国4県
・ハコモノに投資するぐらいなら・・・
〇税金を浪費する施設&第三セクター
1.とさでん交通(高知県)
2.吉野川ハイウェイオアシス(徳島県)
3.香川県立体育館(香川県)
4.南予レクリエーション都市(愛媛県)
5.グリーンピア土佐横浪(高知県)
6.あすたむらんど徳島(徳島県)
7.新内海ダム(香川県)
8.大三島ブルーライン(愛媛県)
9.南国市立スポーツセンター(高知県)
10.吉野川第十堰(徳島県)
11.椛川ダム(香川県)
12.山鳥坂ダム(愛媛県)
13.オーテピア(高知県)
14.四国横断自動車道(徳島県)
15.高松市文化芸術ホール(香川県)
16.坂の上の雲ミュージアム(愛媛県)
17.サンポート高松シンボルタワー(香川県)
18.徳島空港(徳島県)
19.香川県議会議員(香川県)
20.四国-九州海底トンネル(愛媛県)
まとめ
経済的に苦しい四国4県
四国4県は経済的に恵まれているとは言えない。年度予算は人口の最も多い愛媛県で約7000憶円、高知県は5000憶円にも満たない。無駄遣いしなければ問題ないと感じる方もいるだろう。しかし、予算が県民の為にすべて有効活用されているとは思えない。
四国の最低賃金は全国最低水準である。最下位争いをしているのは私の地元、九州の各県だ。賃金の低さを全て自治体のせいにはできない。しかし配慮が足りないことは事実だ。地方税は知らぬ間に引き上げられ、国民健康保険料や消費税に関しては言うまでもない。賃金は一向に上がらず、低所得者層が苦しめられていることは周知の事実である。
地方自治体が経済的に苦しいことは理解できる。限られた予算を有効活用し、行政サービスを充実させ、借金を返済しなければならないことを考えると、一生懸命働く職員の皆さんには頭が下がる。しかし、お金がないと言っている割には、巨大な高速道路が建設されたり、全く必要ないダム計画が立案されたりするから不思議だ。
ハコモノに投資するぐらいなら・・・
県民が必要とする公共工事・公共事業はドンドン行うべきだ。通行料の多い道路なら舗装を綺麗にし、小中学校の体育館がボロボロになったら積極的に改築してほしい。洪水の危険性がある河川の護岸改良工事も行うべきだ。大規模水害を完璧に防げるダムであれば、投資する価値はあると思う。
公共工事・公共事業を積極的に推し進めることで、経済が回ることも事実だ。1000憶円の工事を地元のゼネコンが受注し、下請け、孫請けで入る地元の零細建設業者が儲かる。規模が大きくなるほど効果は大きくなる、と誰もが思う。2000億円の経済効果があると“謳われた”複合商業施設や高速道路が完成することで、県民の生活は改善し、賃金は上がり、消費は増え、地域経済はスパイラルアップを・・・
残念ながら、”県民が必要としていない施設”に多額の税金が投じられている。豪華過ぎるハコモノは建設費用を回収できるわけもなく、毎年の維持管理費で赤字を垂れ流し続けているのだ。補填するには大切な年度予算を使うしかない。誰も利用しない500億円の豪華アリーナを作るぐらいなら、国民健康保険料を引き下げて欲しいし、小中学校の体育館を100箇所近く建て替えることもできるだろう。
今回は国民が納めた税金を浪費する施設と第三セクターを紹介する。なお、全て私の主観で選んでいることをご理解いただきたい。なぜ”役人たち”は無駄に豪華なハコモノを作りたがるのか。何が彼らを駆り立てるのか。血税を無駄遣いする悪習はいますぐ改めなければならない。一部の者たちを儲けさせるのではなく、一生懸命頑張っている県民の為に時代の流れを変える時が来たのだ。
税金を浪費する施設&第三セクター
とさでん交通(高知県)(目次に戻る
高知県高知市に本社を置く「とさでん交通㈱」は、バス事業を行っていた”高知県交通”他2社が合併し誕生した第三セクター方式の持ち株会社である。県内全域の公共交通機関を担う大切な存在であり、県民にとっても欠かせない存在だ。しかし、地方都市の宿命”人口減少”のあおりを受け、合併前の3社は苦しい経営を余儀なくされていた。
高知県交通他2社に投入された補助金は40億円以上にのぼる。しかし、経営状況は一向に改善されず債務超過に陥った。結果、とさでん鉄道㈱が誕生する訳だが、”経営努力”はしっかり行えていたのか、という点が気になる。
とさでん鉄道は、経費・人員削減、効率化を徹底的に図っている。会社が設立された2014年以降、5期連続で黒字を達成し、合併前まで90憶円以上の累積赤字を抱えていたとは思えないほど経営状態は改善されつつあるようだ
第三セクターにはいくつもの問題点がある。
①役人の天下り先になっている
②いざという時は国が補助金(税金)を投入してくれるという驕り
③黒字化達成が困難な事業への参入
とさでん鉄道㈱は、県民にとって欠かせない公共交通機関の運営を担っている。高知県も会社が倒産した時の影響は重々承知しており、いざという時は補助金を投入せざるを得ないのだ。第三セクターは無駄を徹底的に排除しなければならない。役に立たない天下り役人を受け入れる余裕があるのなら、少しでも経営状況をよくする努力を行うべきである。
日本に7000以上ある第三セクターの半数以上が毎年赤字を垂れ流し、補助金頼りの経営に甘んじている。とさでん鉄道㈱のように黒字化を達成できなければ、努力を怠った天下り役人たちに血税が投入され続けるだろう。公共交通機関を維持することも大切だが、まずは”たるんだ経営者たち”を引き締めるべきだ。
<特徴:第三セクター、補助金、公共交通機関>
形態 | 第三セクター |
税金投入額 | 40億円以上 |
経営状況 | 5期連続黒字 |
天下り度(5段階) | ★☆☆☆☆ |
外部サイトへのリンク
<とさでん交通㈱ 公式ホームページ>
吉野川ハイウェイオアシス(徳島県)(目次に戻る
”道の駅”建設は、地方再生手法のひとつとして知られている。その数は全国で1000を超え、地方自治体は競い合うように豪華な施設を乱造した。徳島県三好郡東みよし町の「吉野川ハイウェイオアシス」もそのひとつである。50億円近い費用をかけ、物産センター、温泉、キャンプ場、テニスコートなどを整備し、町の一大観光スポットになるはずだった。
役人たちは大きな勘違いをしている。道の駅を作れば人が勝手に集まり、施設の規模と売り上げが比例すると思っているのだ。ハコモノは規模が大きく豪華になるほど建設費がかさむ。単年の維持管理費もそれに比例して大きくなり、黒字化を達成するにはかなりの経営努力が必要になる。東みよし町に毎年数千万人のの観光客が訪れればハイウェイオアシスの経営は余裕で成り立つだろうが、現実は厳しかった。
豪華なハコモノ建設で儲かるのは役人とゼネコン幹部だけである。50億円もの税金を投じて作ったハイウェイオアシスは、予想通り慢性的な赤字経営に陥った。なお、維持管理は委託会社に丸投げできても、設備のメンテナンス費用は東みよし町が支出しなければならない。テニスコートや温泉施設を造らず、建設費を限界まで切り詰めていれば結果は違っていたかもしれない。無駄に華美な施設の維持管理費は、全て血税で補填されるのだ。
2019年。吉野川ハイウェイオアシス最大のイベント”オアシスまつり”の中止が発表された。運営する第三セクター”吉野川オアシス㈱”の経営状況が悪化している為だという。役人の天下り先に血税が投入される日はそう遠くないだろう。”県民に必要とされない赤字を垂れ流すハコモノ”ほど不要なものはない。
<特徴:ハコモノ、第三セクター、赤字>
形態 | 道の駅、第三セクター |
税金投入額 | 50億円以上 |
ライフサイクルコスト (一生涯にかかる維持管理費) | 100億~150億円 |
役立たず度(5段階) | ★★★★★ |
外部サイトへのリンク
<吉野川ハイウェイオアシス 公式ホームページ>
香川県立体育館(香川県)(目次に戻る
1964年に利用が開始された「香川県立体育館」は、耐震補強に問題が確認され、建て替えに向けた調査・設計工事が進められている。なお、工事費用は170億~190億円と試算しているようだ。その規模は、一般的な5000人収容アリーナをイメージすると分かりやすい。なお、新設が予定されている高松市には、利用可能な体育館・スポーツ施設が10以上存在する。
大きく豪華なアリーナを建設すれば、プロスポーツチームを誘致したり、有名アーティストのライブを開催できるかもしれない。また、体育館が新設される”サンポート高松”は、税金を投入して大規模な埋立・土地開発を行ったものの、企業や施設等の誘致に失敗している。大きく豪華なアリーナを建設し、地域活性化の起爆剤になってほしいと考えているのだろう。
高松市内には10以上の市民体育館やスポーツ施設が存在する。そのことを考慮すると、香川県立体育館の建て替えは非常に危険だと言わざるを得ない。役人たちは巨大なハコモノを建設すれば地域活性化につながると考えているが、全く逆の結果を招く可能性が高い。しかし、県民は体育館新設にそれほど興味を持っていないようだ。今のまま計画が進めば、2023年に開館の予定だという。
香川県立体育館が毎年の維持管理費を超える利益を生み出せば、”無駄なハコモノ”というレッテルを貼られることはない。自治体が強豪プロスポーツチームを誘致すれば、間違いなく地域活性化につながるだろう。計画を進めるのであれば、建設費用を限界まで切り詰め、維持管理費を低減、かつ県民から受け入れられる施設を作ることが大切だ。もしそれらに失敗し利用者が伸びなければ、赤字を垂れ流す”無駄なハコモノ”と罵られるだろう。
<特徴:体育館建替、地域活性化、サンポート高松>
形態 | 体育館(アリーナ) |
税金投入額 | 190億円以上 |
ライフサイクルコスト (一生涯にかかる維持管理費) | 380億~570億円 |
役立たず度(5段階) | ☆☆☆☆☆ |
外部サイトへのリンク
<香川県教育委員会 公式ホームページ>
南予レクリエーション都市(愛媛県)(目次に戻る
昭和40年~60年代にかけて整備・建設された「南予レクリエーション都市(通称南レク)」は、巨大複合アトラクション施設として華々しく開園した。敷地の広さは500ha以上(東京ドーム100個分)あり、その中に動物園や展望公園、プールやキャンプ場など、30を超える施設が設置されている。総工事費は用地取得料等を含めると250憶円近くにのぼった。
南レクが造られた”南予地区”は高度経済成長から取り残された過疎地域だった。そのため、当施設に期待する住民は多く、反対運動等もほとんど起きなかったという。しかし、結果は想像していたものとは全く違った。
利用客は想定よりもはるかに少なく、毎年多額の赤字を計上することになった。また”不運”が重なった点も被害を大きくした要因だった。地域住民が熱望した高速道路や鉄道は建設されず、松山市内から車で3時間以上もかかるような場所では、利用客が集まるはずもなかったのだ。
南レクの用地取得は中途半端な状態で中止され、現在も”そのままの状態で放置”されている。残念ながら、当初計画していた施設が全て完成することはない。利用客は全く伸びず、運営会社の第三セクター”南レク㈱”は毎年赤字を計上している。施設の維持管理費や人件費に毎年数億円が費やされており、まさに”役立たずのハコモノ”と呼ぶにふさわしい存在と言えるだろう。
利益を生み出す可能性の低いハコモノは、県民の血税を食いつぶす存在でしかない。なお、施設を解体するだけでも10億円規模の費用がかかる。しかし、毎年数億円の赤字を計上し続けるのであれば、更地にした方がいいかもしれない。南レク㈱は役人の天下り先になっているようだが、一刻も早く解体すべきだ。判断を先延ばしにすれば、ツケを払わされるのは税金を納めている国民なのだから。
<特徴:見当しの甘さ、役立たず、毎年赤字>
形態 | 複合施設、第三セクター |
税金投入額 | 250憶円 |
ライフサイクルコスト (一生涯にかかる維持管理費) | 500億~750億円 |
役立たず度(5段階) | ★★★★★ |
外部サイトへのリンク
<南予レクリエーション都市 公式ホームページ>
グリーンピア土佐横浪(高知県)(目次に戻る
伝説の公的リゾートホテル(保養所)として歴史に名を刻んだ”グリーンピア”。国民の納めた健康保険料を運用するという名目で作られた13の施設は、民間企業や地方自治体に全て売却されるという無様な最期を迎えた。なお、建設費用の2000億円は雲散霧消したが、”討ち死にしかけたハコモノ”たちは何とか救命措置を施され、今も多くが現存している。
「グリーンピア土佐横浪」は、広大な土地と”無駄に豪華なホテル”が魅力の巨大複合レジャー施設としてオープンする。しかし、高知県須崎市の市街地から遠く離れていたことや、そもそも魅力的な観光地でなかったことが影響し、毎年赤字を計上し続けた。運営を任されていた財団法人”グリーンピア土佐横浪㈱”は、2004年に破産する。
グリーンピア土佐横浪は、2市にまたがって建設されていた。土佐市竜地区には約30億円、須崎市光松地区には120億円が投じられている。なお、前者は民間の学校法人が約4億円、後者は須崎市が約1憶円で買い取った。立派なホテルを超低価格で購入できたと喜びたくなるが、”豪華なハコモノ”には維持管理費がかかることを忘れてはいけない。
須崎市は民間企業にグリーンピア土佐横浪の跡地を売却、無駄なハコモノは完全に清算され跡形もなく消え去った。しかし、グリーンピアへの投資に費やされた2000億円の健康保険料問題は、闇に葬られうやむやになったままである。
令和の世になっても無駄なハコモノへの投資は続いている。四国4県はグリーンピア土佐横浪の大失敗から多くを学んだはずだ。しかし、本当の地獄はまだ始まってもいなかった。後述するハコモノに投入された税金の総額を見れば、役人がいかに学ばない生き物かを理解できるはずだ。
<特徴:見当しの甘さ、役立たず、毎年赤字>
形態 | 複合レジャー施設 |
健康保険投入額 | 150憶円 |
ライフサイクルコスト (一生涯にかかる維持管理費) | 300億~450億円 ※民間企業に売却済 |
役立たず度(5段階) | ★★★☆☆ |
外部サイトへのリンク
<グリーンピア Wikipedia>
あすたむらんど徳島(徳島県)(目次に戻る
徳島県を代表する巨大公共施設のひとつ「あすたむらんど徳島」は、県の威信をかけて造られたテーマパークである。建設時には、”21世紀の徳島県のスタートを飾る一大事業”と大々的に宣伝していた。施設内には、こども科学館、プラネタリウム、冒険の国といった”子供向けのアトラクション”が数多く用意されている。
230億円もの税金を費やして作られた施設には、毎年10億円以上の維持管理費がかかっている。テーマパークなので、人件費や光熱費も馬鹿にならないのだろう。なお、売り上げは2001年の開業以来一定の水準を保っており、だいたい7000万~8000万円前後だという。つまり、毎年9億円もの赤字を計上し続けているのだ。施設の運営は委託会社に丸投げしているが、赤字の補填や修繕等は徳島県が面倒を見なければならない。
開業時はテーマパークとして大々的に宣伝していたが、利用者集めは捗らなかった。なお、入園料、駐車料は一切かからず、一部の施設(プラネタリウム等)だけ料金を徴収している。役人たちは、売り上げより”子供への教育”を重視したと言い訳がましく言うだろう。しかし、利用者自体が少なく教育に役立っているかは疑問である。
”21世紀の徳島県のスタートを飾る一大事業”あすたむらんど徳島は、役人とゼネコン幹部は儲けさせただけの”無駄なハコモノ”と断言できる。建設費用の230億円で小中学校の体育館を”50棟”建て替えた方が余程有意義だ。毎年赤字を補填する為だけに計上される9億円があれば、図書館の本を増刷できるし、学校の施設を順番に修繕することも可能だ。
あすたむらんど徳島の未来は非常に暗い。子供のことを”本当に”考えているのなら、毎年計上する9憶円を教育費に回すべきだ。無駄なハコモノを維持するほど、県民の税負担は大きくなる。
<特徴:子供向け、無駄なハコモノ、馬鹿の極み>
形態 | テーマパーク |
税金投入額 | 230憶円 |
ライフサイクルコスト (一生涯にかかる維持管理費) | 460億~690億円 |
役立たず度(5段階) | ★★★★☆ |
外部サイトへのリンク
<あすたむらんど徳島 Wikipedia>
新内海ダム(香川県)(目次に戻る
オリーブの一大生産地として知られる香川県”小豆島”。美しい景観が印象的な分、そこに造られた巨大な構造物「新内海ダム」は異質に映る。総工事費185億円の大事業に反対した住民の一部は、国と県を訴え法廷闘争にまで発展した。
新内海ダムは、”旧内海ダム”の後釜として建設された。1995年に発生した阪神淡路大震災でも大きく損壊することはなかったが、地盤沈下等の影響で破損する可能性があると指摘された為だ。また、小豆島では昭和51年に大規模な水害(土砂災害)も発生している。30名以上の死者を出し、香川県史上最悪の自然災害として記録されており、ダム建設が急務と県は考えた。
新内海ダムが水源とする”別当川”の下流にある地域は、水害と土砂災害をもろに受けた地域である。ダムは市街地に近い下流に造られたため、大雨時に上流(山頂)から流れてくる水をせき止めてくれるだろう。
新内海ダムは2013年に竣工式を迎えた。そして住民の一部が起こした裁判も、2014年に原告敗訴という形で終結する。ダム建設は本当に難しい。治水効果が期待できるのであればぜひ造るべきだと思う。しかし、自分の住む地域が水の底に沈むとなれば、反対する方の気持ちも痛いほど理解できる。
残念ながら、日本各地に建設されたダムの中には”役立たずのハコモノ”も存在する。水不足に陥ったことのない地域に”利水効果”のあるダムを建設しても、全く意味をなさない。また、過去に一度も水害・土砂災害の発生していない地域・川に、1000億円規模の治水ダムが作られたこともある。
役人とゼネコン幹部が儲ける為に造られた”役立たずのハコモノ”は、治水・利水効果のあるダムにも悪い影響を与えている。小豆島を再び大雨が襲った時、新内海ダムの成否がハッキリするはずだ。なお、別当川の下流にある”小豆町”周辺から新内海ダムを見ることはできない。景観を壊していると原告は訴えていたが、市街地に住む方への配慮はなされていると思った。
<特徴:治水ダム、法廷闘争、安全と景観>
形態 | ダム |
税金投入額 | 185憶円 |
ライフサイクルコスト (一生涯にかかる維持管理費) | 370億~555億円 |
役立たず度(5段階) | ★☆☆☆☆ |
外部サイトへのリンク
<新内海ダム ダム便覧>
大三島ブルーライン(愛媛県)(目次に戻る
愛媛県今治市と離島を結ぶ「大三島ブルーライン」は、島民の生活に欠かせない大切な移動手段として利用されてきた。運行本数は多くないものの、ピーク時には1年間に3万人近くが利用したという。しかし、島民の減少や過疎化等の影響を受け利用者は年々減少。現在では最盛期の1/3以下になり、”大三島ブルーライン㈱”は苦しい経営を余儀なくされていた。
地方都市の公共交通機関(鉄道・バス・フェリー・路面電車)を運営する企業は、人口減少の影響をもろに受けている。利用者が減ることは死活問題であり、民間企業の場合だと”撤退(廃線)”を視野に入れなければならない。地方自治体は住民の大切な足を無くしてはならないと懸命に努力する。民間企業であれば支援、第三セクターの場合は補助金を投入し、”存続”させる為の努力を懸命に続けている。
地方自治体は公共交通機関を守るために全力を尽くすべきだ。ただでさえ過疎化が進んでいる状況なのに、公共交通機関まで廃止されてしまったら、離島に住む人々は息の根を止められてしまう。第三セクターの大三島ブルーライン㈱には、毎年2000万円もの補助金が投入されている。しかし、自治体の財政が苦しい、税金が勿体ないという理由で補填を止めれば、”愛媛県は島民を見捨てた”と思われるだろう。
地方都市の公共交通機関を運営する企業・第三セクターは、赤字を補填してでも存続させるべきだ。愛媛県は補助金2000万円を渋るより、250億円を投じて作った”無駄なテーマパーク”や、800億円を投じて建設する予定の”無駄なダム計画”を見直さなければならない。
大三島ブルーライン㈱は運行本数を減らしながらも、何とか事業を継続している。島民にとって航路は道路と同じ、生活に欠かせないものだ。地方都市の公共交通機関を廃止することは、まさに”愚の骨頂”である。愛媛県は”無駄なハコモノ”への投資を止め、”県民”の為に税金を使うべきだろう。
<特徴:公共交通機関、島民、必要不可欠>
形態 | 第三セクター |
税金投入額(単年) | 2000万円 |
ライフサイクルコスト ※100年 (一生涯にかかる維持管理費) | 20億円 |
役立たず度(5段階) | ☆☆☆☆☆ |
外部サイトへのリンク
<大三島ブルーライン 公式ホームページ>
南国市立スポーツセンター(高知県)(目次に戻る
高知県南国市に建設された「南国市立スポーツセンター」は、県内有数の規模を誇る施設である。2002年に開催された”高知国体”の為に建設され、その他の施設を合わせると600億円近い予算が投じられている。スポーツセンターの建設費は100億円ほどで、バドミントンに特化したメインアリーナやサブアリーナ、トレーニングルームやグラウンドなどが完備されている。
毎年赤字を垂れ流すスポーツセンターや体育館は”ハコモノ”呼ばわりされてしまう。逆に、安全面を配慮した上で建設費を限界まで削り利益を上げれば、”素晴らしい施設”と褒めたたえられる。当スポーツセンターは、毎年1500万円ほど赤字を計上している。維持管理費は全て税金で賄われるため、現時点ではハコモノと呼ばれても仕方がないと思う。しかし、バドミントンに特化した施設を有効活用すれば、収支改善は十分可能だと思った。
南国市立スポーツセンターの建設費は、他県の巨大アリーナ等に比べると明らかに安く、維持管理費の抑制に繋がっている。また、ひとつの競技に特化している点も評価すべき点だ。当施設は”無駄に華美な観覧席”などを設けておらず、競技スペースの充実を図っている。バドミントンに特化した施設はサッカーや野球、バスケットボールに比べると明らかに少ないため、協会(連盟)や社会人チームに利用してもらえれば、南国市を全国にアピールできるかしれない。
南国市にバドミントン大会や合宿を誘致できれば、高知県全体の注目度が上がることは間違いない。社会人チームが集まる施設になれば、市民からも注目され利用者向上につながるだろう。営業は大変かもしれないが、可能性は決して低くない。初期投資を抑えひとつの競技に特化したスポーツセンターや体育館は、使い方次第で県民に大きな恩恵をもたらす可能性を秘めている。
<特徴:建設費抑制、バドミントン特化、集客>
形態 | 体育館 |
税金投入額(単年) | 100億円 |
ライフサイクルコスト ※100年 (一生涯にかかる維持管理費) | 200億~300億円 |
役立たず度(5段階) | ★★☆☆☆ |
外部サイトへのリンク
<南国市立スポーツセンター 公式ホームページ>
吉野川第十堰(徳島県)(目次に戻る
”吉野川”は徳島県と高知県を流れる1級水系である。川幅は広い箇所で2000mを超え、”四国三大暴れ川”としても有名だ。なお、台風や大雨等で何度も水害を引き起こしてはいるが、堤防が決壊したことは一度もない。ここで紹介する「吉野川第十堰(だいじゅうぜき)」は、川を分流(分断し流れを二つに分ける)する為に設けられた”堰”のことをいう。
吉野川第十堰の歴史は江戸時代にまで遡る。設置が始まってから現在の形に至るまで200年以上かかっており、堰を設置したことで水不足に苦しむ下流域の農民が救済された。また塩害対策もしっかり考慮され、住人の生活を第一に考えて作られたと言える。大雨等による流量増加にも一定の効果があり、ある程度の規模であれば洪水を防ぐ効果はあった。しかし、伊勢湾台風クラスの超大雨に対応することができなかった。
1998年。県と国は第十堰を撤去し、開け閉め可能な”可動堰”を設置すると発表。住民たちの一部は猛反発し、反対運動が開始された。なお、建設に賛成する者の多くは、洪水対策に期待を寄せていたようだ。しかし、1000億円を超える工事費と、可動域が環境に与える影響が注目され始め、翌年建設場所の徳島市で住民投票が行われることになった。その結果は、建設反対が90%を超える票を集め、県と国は可動堰計画の中止を決めた。
県と国は住民投票の結果をあっさり受け入れている。残念ながら、可動堰を設置しても伊勢湾台風クラスの洪水を防げる補償はなく、環境保全の面でもメリットがあるとは思えない。県と国があっさり建設を撤回したことがその証拠である。なお、洪水で壊れた可動堰の改修には100億単位の費用がかかる。そもそも”大雨による河川の増水を防ぐ”為に設置されたものが、なぜ洪水で壊れるのか不思議でならない。
<特徴:可動堰、吉野川、住民投票>
形態 | 可動堰 |
税金投入額 | 1000億円 |
ライフサイクルコスト (一生涯にかかる維持管理費) | 2000億~3000億円 |
役立たず度(5段階) | ★★★★☆ |
外部サイトへのリンク
<徳島市 公式ホームページ>
椛川ダム(香川県)(目次に戻る
香川県高松市塩江町の山中に建設されている「椛川ダム」は、香東川水系の”椛川(かばがわ)”を水源とする重力式コンクリートダムである。総建設費440億の巨大公共事業であり、大手ゼネコンが共同企業体(JV)で工事を進めている。
香東川流域の住民は度々干ばつに苦しめられており、ダム建設を熱望していた。讃岐平野の年間雨量は1000から1200mm程度と非常に少なく、この地域は取水制限が頻繁に発生することでも有名だった。椛川ダムは干ばつに苦しむ県民の期待を背負っている。香東川の治水効果はもちろん、流域住民の”水源”になるべく建設が開始された。
ここまで色々なダムを紹介してきたが、改めて”無駄なハコモノ”に分類される条件を記載する。以下のどちらかを満たせば、役人とゼネコンを儲けさせるだけの役立たずと判断できる。
①増水の心配が全くない小・中河川の治水対策として作られるダム
②水不足の心配が全くない地域に利水対策限定で作られるダム
県民の安全と生活を守る”効果の高いダム”はドンドン建設すべきだ。椛川ダムは香東川流域に住む県民の為に作られる。利水効果は干ばつに苦しむ人々の助けになるだろう。
椛川ダム建設は順調に進んでおり、2020年9月完成を予定している。1994年に計画がオープンされたことを考えると、比較的順調に進んだ工事と言えるだろう。民意がしっかり反映されているダムは、15年から20年で作り上げることができる。しかし逆の場合は反対運動、立ち入り拒否、集団訴訟などに発展し、工事着工すらできず40年以上経過したケースもあるのだ。
残念ながら、既に完成した”無駄なハコモノ”と呼ばれるダムを壊すことはおすすめしない。解体には建設時と同程度の費用がかかる。作ってしまったものは、国民の血税を使って100年以上保守しなければならないのだ。現在計画中されているダムの中には、民意が反映されたものとそうでないものが混じっている。役人とゼネコン幹部を儲けさせる”無駄なハコモノ”は、悲しみと悔恨だけを残し、税負担となって我々を苦しめるだろう。
<特徴:民意、利水対策、必要とされるダム>
形態 | ダム |
税金投入額 | 440億円 |
ライフサイクルコスト (一生涯にかかる維持管理費) | 880億~1320億円 |
役立たず度(5段階) | ☆☆☆☆☆ |
外部サイトへのリンク
<香川県 公式ホームページ>
山鳥坂ダム(愛媛県)(目次に戻る
愛媛県大洲市の山中で建設が進められている「山鳥坂(やまとさか)ダム」。1986年に工事着手したものの、完成には至っていない。水源は1級河川”肱川”支流の河辺川であり、治水対策に大きな期待が寄せられている。なお、建設地に住む人々は工事に賛成しているものの、それ以外の反対派住民はダムではなく肱川の”河川・堤防増強”を進めてほしいと訴えている。
反対派住民はダム建設より肱川本体の工事(堤防や水門の設置など)が必要だと訴えていた。どちらも公共事業なので、県や国は順番が逆になっても問題ないと考えたはずだ。しかし、2018年7月に事態は一変する。西日本を中心に発生した豪雨の影響で、肱川水系の野村ダムと鹿野川ダムの貯水量は限界が近くなり、放水を開始。肱川流域で大規模な堤防決壊・浸水が発生し5人が死亡、街全体が1m以上水没した。
肱川水系のダムを増設すれば、治水効果を発揮することは間違いない。しかし、肱川本体の河川・堤防増強は全く行われておらず、山鳥坂ダム完成前に想定外の大雨が降ったことで、”治水事業の順番”の誤りが露呈した。県と国は規模の小さい河川改修工事より、1000億円規模のダム工事を優先させてしまった。理由は役人とゼネコン幹部の儲けに繋がるためだ。
肱川水系の河川改良工事は”平成30年7月水害”を経て動きだした。県民5名が犠牲になったことで、県と国は山鳥坂ダムより先に堤防を増強する判断をようやく下したのだ。治水事業は順番を誤ると取り返しのつかない事態を招く。基礎が仕上がっていない地盤にマンションを建てれば、崩壊することは容易に想像できるだろう。県と国は公共工事を適切に行い、かつ、その土地のことを一番よく知る住民の声にも耳を傾けなければならない。儲け優先ではなく、”人命優先”の治水事業を行うべきだ。
<特徴:河川・堤防増強工事、平成30年7月水害>
形態 | ダム |
税金投入額 | 850億円 |
ライフサイクルコスト (一生涯にかかる維持管理費) | 1700億~2550億円 |
役立たず度(5段階) | ★☆☆☆☆ |
外部サイトへのリンク
<国土交通省四国地方整備局 公式ホームページ>
オーテピア(高知県)(目次に戻る
高知の県立図書館として2018年に開館した「オーテピア」は、日本トップクラスの規模と蔵書数(約75万冊)を誇る。県民が利用する図書館の新設に反対する人は少ない。しかし、総事業費150億円ともなれば話は別だ。オーテピアは常軌を逸した”無駄なハコモノ”と断言できる。完全に常軌を逸しており、まともな思考を持った人間なら、こんな施設を作ろうとは思わない。
私は図書館を頻繁に利用する。目的は以下の通りだ。
①本を借りる
②借りていた本を返却する
③勉強する
④気になる本を探す
⑤時間つぶし
県立図書館は”基本”利益を上げる施設ではない。維持管理費、人件費は全て税金で補填し続ける。オーテピアにかかった総事業費は150億円。ライフサイクルコストは300億から450億円。特殊な形状の建物なので、修繕、改良費用は割増になる可能性もあるだろう。
高知県は”県民のことを考えて”立派な図書館を建設したいと考えたのだろう。しかし、利用者は華美な外観や特殊な構造の建物を見学に訪れるわけではない。本や勉強スペースがあれば、木造2階建ての簡素な施設でも全く問題ないはずだ。
岩手県紫波(しわ)町にある”オガールプラザ(官民連携プロジェクト)”の図書館は、総事業費8億円なのに毎年利益まで上げてしまう。官民連携の超優良事業なので比べる相手が悪いとは思うものの、オーテピアの総事業費150億円は完全にやりすぎである。図書館は県民の生活に欠かせない存在かもしれない。しかし、かかった(これからかかる)費用は全て税金で補填されるのだ。
公共施設に税金を投入し過ぎると、県民がそのツケを払わされる。なお、オーテピアの5階には”高知みらい科学館”という施設が設置されている。入館は無料だが、”立派なプラネタリウム”の鑑賞は有料(大人500円、小中学生100円)なので注意しよう。
<特徴:河川・堤防増強工事、平成30年7月水害>
形態 | 図書館 |
税金投入額 | 150億円 |
ライフサイクルコスト (一生涯にかかる維持管理費) | 300億~450億円 |
役立たず度(5段階) | ★★★★☆ |
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<オーテピア 公式ホームページ>
四国横断自動車道(徳島県)(目次に戻る
「四国横断自動車道」は文字通り四国地方を横断する国幹道だ。ここで紹介するのは、”鳴門JCT~徳島IC~徳島東IC(鳴門徳島間)”の区間である。総事業費1500億円以上の超巨大プロジェクトであり、徳島県と国土交通省が協力し工事を進めている。
私が高速道路の新設に賛成する条件は以下の通りだ。全て満たしていれば言うことなしだ。しかし、当てはまらない条件がひとつでもあれば、建設計画再考の余地ありと考えている。
①利用者の多い県道や市道の交通量が緩和される
②新設された区間の所要時間が大幅に短縮
③一定の通行料が見込まれる
新設される鳴門徳島間と並走する国道は、慢性的な渋滞に悩まされていた。これを解消できれば、県民の生活環境改善に大きく寄与するだろう。なお、鳴門徳島間の所要時間は国道の半分以下を見込んでいる。また、国道の渋滞自体も解消されるため、そちらの所要時間も大幅に改善されるという。
新設された鳴門徳島間は、県民の生活をより良くすると信じたい。1500億円の総事業費とこれからかかる維持管理費の大半は税金で賄われるのだから、県民の期待も大きい。なお、徳島県は高速道路建設を”地方再生の切り札”と吹聴しているが、”道を作れば人が勝手に集まる”と考えるべきではない。街自体に魅力がなければ人は集まらないし、当然物も売れない。高速道路を建設してたけで地方が蘇るなら、”道路大国日本”の経済は今より数段良くなっているはずだ。
鳴門徳島間に関連する工事で徳島県の零細建設企業が潤い、汗水垂らして働いた作業員が報われるよう願っている。1500億円もの税金を投入するからには、渋滞緩和と所要時間短縮だけでなく工事期間中も多くの人々に恩恵をもたらしてほしい。また、高速道路が完成した後のことも考えておくべきだろう。先述の通り、街に魅力がなければ人は集まらない。地域全体の魅力を高めるためには、”ハコモノ”ではなく、そこで生活する人や”文化”に投資すべきだろう。
<特徴:高速道路、1500億円、地方再生>
形態 | 高速道路 |
税金投入額 | 1500億円 |
ライフサイクルコスト (一生涯にかかる維持管理費) | 3000億~4500億円 |
役立たず度(5段階) | ★★☆☆☆ |
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<四国横断自動車道 Wikipedia>
高松市文化芸術ホール(香川県)(目次に戻る
「高松市文化芸術ホール」は、高松市の再開発整備事業地域のひとつ、”サンポート高松”に建設された。総事業費200億円の大型公共施設は、残念ながら”無駄なハコモノ”に分類される。役人は美術館や芸術ホールを建設する際、”赤字黒字の概念ではなく、市民への投資”などと美辞麗句を並び立てる。しかし、ここまで紹介してきた無駄なハコモノ事例を見れば、本当の狙いは理解できるだろう。
サンポート高松の周辺(半径1km以内)には”芸術関連の施設”が乱造されている。県内最大のキャパシティを誇る県民ホール、市民劇場、文化会館などがあり、なぜこの地域に集中して建てられたのか不思議でならない。芸術関連の施設で行われるイベントは、”クラシックコンサートや美術展”など、大方種類が決まっている。1988年に開館した県民ホールをリプレースすれば、200億円もの税金が投入されることはなかったはずだ。
芸術ホールや美術館は、市民の芸術や文化、音楽等に関する知識や感受性を育てるために必要だと思う。しかし、同じような機能を持つ施設を、限定された地域(範囲)内に複数箇所建てる必要があるだろうか。答えはNOだ。役人たちは2000億円以上の税金を使って整備したサンポート高松の現況に焦り、”豪華な施設”で人を呼び寄せようと考えた。しかし、ここまで紹介してきた”無駄なハコモノ”と同じく、香川県民は血税を浪費する新たな負債を背負わされた。
高松市文化芸術ホールは、2022年4月から大型改修工事を行うことが決まっている。工期は丸2年というから驚きだ。その間の維持管理費や人件費、当然工事費は全て税金で賄われる。役人たちは”ハコモノ”ありきの地域再生計画を見直す気はないようだ。高松市民は、同じような機能を持つ芸術関連の施設が、限定された地域に5つ以上あることを疑問に思わないのだろうか。
<特徴:似たような施設、サンポート高松、ハコモノ>
形態 | 芸術ホール |
税金投入額 | 200億円 |
ライフサイクルコスト (一生涯にかかる維持管理費) | 400億~600億円 |
役立たず度(5段階) | ★★★★★ |
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<高松市文化芸術ホール 公式ホームページ>
坂の上の雲ミュージアム(愛媛県)(目次に戻る
「坂の上の雲ミュージアム」は、日本を代表する小説家”司馬遼太郎”の人気歴史小説に関連する資料を展示している。しかし、”司馬遼太郎ファン”は訪れるべきではない。ここは愛媛県松山市出身の”正岡子規”他2名の紹介に特化した施設だ。総事業費は30億円と、ここまで紹介してきた施設の中ではかなりリーズナブルな金額である。しかし、非常に多くの問題点を抱えた興味深いハコモノだと思ったので、あえて紹介することにした。
当施設から少し離れた場所にある”松山市立子規記念博物館”は、松山市を代表する俳人の記録等が展示されている。建設されたのは1981年であり、あと2年で開館40周年を迎える歴史ある施設だ。なお、坂の上の雲ミュージアムが開館したのは2007年で、やはり正岡子規(他2名)の紹介を行っている。
普通の感性を持った人間なら、松山市立子規記念博物館を使って”坂の上の雲”を紹介しようと考えるはずだ。しかし、無能な役人たちは、”ハコモノ”がたくさんあるほど観光客を呼び込める、と考えてしまう。
当施設は、坂の上の雲がドラマ化された時に”少しだけ”盛り上がったものの、現在は閑古鳥が鳴いているという。なお、ミュージアムのため、常に開館させておく必要があり、人件費や電気代等の維持管理だけで毎年数億円の費用がかかる。当然黒字を達成できるわけもなく、管理運営を任せている”四電ビジネス㈱”への委託料と合わせて、毎年億単位の赤字を計上している状態だ。
私は当施設を一度だけ訪れたことがある。その時驚いたのは、展示品が想像以上にチープ(安っぽかった)だったことだ。当時の市長は坂の上の雲を街の一大産業にしたいと考えていたようだが、結果は先述の通りである。なお、彼はその後愛媛県知事になり、”伊方原発”の再稼働をあっさり容認している。さらに、”四国電力の関係会社”が赤字を垂れ流す当施設の管理運営を行っている点にも注目してほしい。原発マネーが裏で動いていると考えてもおかしくないだろう。
原発マネーと利権、そして役人が絡むと、”クソの役にも立たないハコモノ”が生まれてしまう。30億円かけて人が訪れない施設を作り、毎年数億円の赤字を税金で補填する。これほど無意味なことがあるだろうか。
<特徴:意味不明、ハコモノ、原発マネー>
形態 | ミュージアム |
税金投入額 | 30億円 |
ライフサイクルコスト (一生涯にかかる維持管理費) | 60億~90億円 |
役立たず度(5段階) | ★★★★★ |
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<坂の上の雲ミュージアム 公式ホームページ>
サンポート高松シンボルタワー(香川県)(目次に戻る
「サンポート高松シンボルタワー」は、既に紹介した”高松市文化芸術ホール”の横に堂々と立つ四国一高いビルだ。”高松港頭地区総合整備事業(通称サンポート高松”の象徴として計画され、400億円もの税金が投入された。なお、周辺一帯の整備事業(埋立・開発等々)には、2000億を超える費用がかかっている。香川県は”四国のシンボル”になると目論んでいたようだが、世の中そう甘くはなかった。
シンボルタワーは地方再生事業の難しさだけでなく、役人たちが無能であることまで教えてくれた。香川県は県内外の企業をこのビルに誘致し、四国経済をサンポート高松一帯に集中させたいと考えた。しかし、移転してきたのは高松市中心部にテナントをおく企業ばかりで、県外企業の入居は皆無の状態。目論見は大きく外れ、さらに深刻な事態まで引き起こす。シンボルタワーに入居した県内企業の支店統廃合等が進み、高松市中心部の空室率が急上昇したのだ。
現在、シンボルタワーの入居率は50%以下まで低下している。なお、ビルの維持管理には年間6億円以上かかるが、収益は1憶円程度と黒字には程遠い状況だ。香川県は”無駄なハコモノ”に400億円を投入し、5億円以上の赤字を開業時(2004年)から毎年税金で補填し続けている。さらに、高松市中心部を支えていた企業やテナントが転居したことで、一帯の商店街や飲食店にも大きな打撃を与えた。
地方自治体は「コンパクトシティ(都市機能を一か所に集積し活性化を図る)」が地方再生に有効と考えている。しかし、企業やテナントを集中させた”狭い範囲”が盛り上がる一方、過疎地域の人々は資源を吸い上げられ衰退がさらに進んでしまう。香川県はサンポート高松への無駄な投資をさっさと打ち切るべきだ。ハコモノに税金を投入し続ければ、県全体の活気はさらに失われてしまうだろう。なお、シンボルタワーの駐車料金は”1時間300円”である。観光客を集める気などさらさらないようだ。
<特徴:入居率50%以下、THEハコモノ、無駄>
形態 | ビル |
税金投入額 | 400億円 |
ライフサイクルコスト (一生涯にかかる維持管理費) | 800億~1200億円 |
役立たず度(5段階) | ★★★★★ |
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<サンポート高松シンボルタワー 公式ホームページ>
徳島空港(徳島県)(目次に戻る
徳島県の空の玄関口『徳島空港』。規模は国内にある空港の中でも下位に位置するが、利用客者数は年々増加しており、2018年度は過去最高の118万人を突破した。なお、国内空港の運営権は県ではなく国が持っている。赤字は垂れ流している空港は、黒字を達成している「優良空港」の足を引っ張っていると揶揄されるのだ。
徳島空港もかつては慢性的な赤字に苦しんでいたが、現在は国内の中でも数少ない黒字を達成している。営業収益は3億~5億円程度と決して多くはないものの、赤字を垂れ流す他の施設に比べれば立派と言えるだろう。なお、国全体の空港事業は、羽田空港が稼ぎ出す収益のおかげで、何とか黒字を保てている。
徳島空港は優良空港と「ハコモノ空港」の間を行ったり来たりしている。2018年に完了したターミナルビル改良・滑走路の増強工事には1000億円以上の税金が投入されたものの、利用客者数をさらに伸ばすことができれば大きな収益を上げるかもしれない。
徳島空港の利用者は年々増加している。理由はここまで紹介してきた「無駄なハコモノ」の特性を見れば理解できるはずだ。徳島県の魅力が世界に認知され有名観光地になれば、ターミナルビル等を増強しなくとも観光客、すなわち空港利用者は自ずと増える。1000億円の投資が本当に必要だったかは分からないが、右肩上がりの現状を維持できれば「優良空港」と呼ばれる日も遠くないだろう。
役人たちは空港や駅などの公共施設も、豪華にすれば人が集まると考えている。結果、利用者数が改善されれば、自分たちの手柄と勘違いし、他の施設にも税金を投入してしまう。徳島空港の収益は、自治体が地道に観光客誘致を行った結果、改善された。赤字を垂れ流している「ハコモノ空港」に必要なことは、施設の改良や増強ではない。地域の魅力を高め人を呼び込めば、自ずと結果はついてくるだろう。
<特徴:収益改善、地域の魅力、優良空港>
形態 | 空港 |
税金投入額 | 1000億円 |
ライフサイクルコスト (一生涯にかかる維持管理費) | 2000億~3000億円 |
役立たず度(5段階) | ★★★☆☆ |
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<徳島空港 公式ホームページ>
香川県議会議員(香川県)(目次に戻る
『香川県議会議員』の海外旅行(本人たちは視察と主張している)が問題になったのはつい最近のことだ。ヨーロッパ各地を旅行し、交流協定を結んでいる都市の地方再生手法等を見て回ったという。かかった費用は4000万円を超えるというから驚きだ。そもそも、海外の地方再生手法を見ても、分かることは知れている。
公費で旅行していたことは非常に腹立たしい。しかし、彼らが地方再生に寄与していれば誰も文句は言わないはずだ。残念ながら、役人たちはヨーロッパの地方再生手法の「うわべ」だけを見て満足し、それを香川県にも活かそうと考える。コンパクトシティ、ネーミングライツ(命名権)などは、全て海外から導入された手法である。そして、それらがほとんど失敗に終わり、無駄なハコモノを生み出す結果に繋がっていることは周知の事実だ。
「無駄なハコモノ」しか生み出せない無能な議員が海外旅行(本人たちは視察と主張している)に行った結果、香川県知事は市民団体に訴えられてしまった。県民を代表するはずの人たちに裏切られた、と怒るのは当然のことだと思う。なお、市民団体は海外旅行費の全額返金と、無能な議員たちの辞職を求めている。
地方再生は、地域住民と自治体が手を取り合い、さらに「たゆまぬ努力」が積み重なり、ようやく実現する。海外の素晴らしい都市を見学し手法を真似するだけで地方が再生されるなら、誰も苦労しない。それどころか、無能な役人は得た知識を正しいと思い込み、「無駄なハコモノ」を乱造し満足するのだ。海外旅行(本人たちは視察と主張している)費の4000万円は、ハコモノ建設で損失を生み出す為に使われたと言っても過言ではない。
数名の無能な議員のせいで、香川県議会だけでなく自治体まで役立たず呼ばわりされるのはあまりに悲しい。しかし、赤字しか生まない施設を乱造し、県民に負担を押し付けたツケは必ず返ってくる。一部の悪代官やゼネコン幹部が儲かるだけの「ハコモノ建設」は今すぐ是正すべきだ。そして市民団体から訴えられた議員はさっさと辞職しろ。
<特徴:無能議員、海外旅行、辞職>
形態 | 香川県議会議員 |
税金投入額 | 4000万円 |
ライフサイクルコスト (一生涯にかかる維持管理費) | 即刻クビ |
役立たず度(5段階) | ★★★★★★ |
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<香川県議会 Wikipedia>
四国-九州海底トンネル(愛媛県)(目次に戻る
最後に紹介するのは、愛媛県と大分県を結ぶ驚異の構想『四国ー九州海底トンネル(豊後伊予連絡道路)』だ。九州と四国を「陸続き」にする案は、20年以上前から考えられていた。さらに「新幹線」等の鉄道を敷設してはどうか、という案も出ている。九州県民としては非常に喜ばしいことだ。しかし、そもそも陸続きにする必要があるのかと疑問に思ってしまう。
橋を架けて陸続きにする場合は、道路だけで総事業費1兆3000億円、鉄道を併設すると2兆5000億円以上かかるという。これが海底トンネルだと、道路だけの場合は7000憶円、鉄道併設で1兆7000億円と一気に安くなる。金額が桁違いすぎると、人間の感覚は麻痺してしまう。費用はもちろん税金で負担する訳だが、さすがの役人たちもこの計画には二の足を踏んだ。
残念ながら、四国ー九州海底トンネルが実現する可能性は限りなく低い。国や地方自治体の財政状況を考えれば当然だろう。しかし、計画自体が廃案になった訳ではない。四国と九州が陸続きになっていれば、航路や海路が使えない時でも物資を輸送できる。本州経由ルートに比べると、所要時間は圧倒的に短縮されるだろう。また、本州ー四国ー九州の「高速道路ネットワーク」が確立されれば、日本経済にプラスの影響を与えるだろう。もちろん実現されればの話だが。
四国ー九州海底トンネルは非常に夢のある構想だ。しかし、1兆円以上の税金が必要になるため、国民にかかる負担も大きい。技術的には建設可能と言われているものの、計画が動き出す時は、まず本当に必要かを皆で議論しなければならないだろう。税金は国民が必要としている道路や施設などに使われるべきだ。また、道路より優先すべき事項も山のようにある。災害復旧支援や、既存の公共施設も改修しなければならない。無駄なハコモノに投資する無能な役人がいなくなれば、日本はもっと良くなるだろう。
<特徴:計画段階、海底トンネル、桁違い>
形態 | 海底トンネル |
税金投入額 | 1兆円以上 |
ライフサイクルコスト (一生涯にかかる維持管理費) | 2兆~3兆円 |
役立たず度(5段階) | ☆☆☆☆☆ |
外部サイトへのリンク
<四国ー九州海底トンネル Wikipedia>
まとめ
今回は四国地方の「無駄なハコモノ」と呼ばれる施設と第三セクターを紹介した。なお、全て私の主観で選んでいることをご理解いただきたい。
日本は少子高齢化社会の真っただ中にいる。納税者は減る一方だが、医療を必要とする高齢者は右肩上がりで増えていくのだ。そんな時代だからこそ、貴重な税金は国民が必要としている「もの」に使われなければならない。無駄なハコモノはただでさえ苦しい日本の財政状況を圧迫するだけの負債でしかない。気になる公共事業や意味不明は工事計画があれば、県や国に意見提起していこう。最後までお読みいただきありがとうございました。