◎カルロス・ゴーン容疑者の逃亡に関わったマイケル・テイラー容疑者はAP通信の取材に対し、「私は長年陸軍に、アメリカに奉仕しました。私と息子は昨年5月から刑務所に閉じ込められています。政府は陸軍に尽くした男を裏切り、日本に引き渡そうとしています」と述べた。
AP通信/日本から逃亡したカルロス・ゴーン容疑者

AP通信によると、日産自動車の元会長、カルロス・ゴーン容疑者の逃亡に関わった容疑者2名がアメリカ政府を非難したという。

元米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)のマイケル・テイラー容疑者と息子のピーター・テイラー容疑者は、日本で保釈中だったゴーン容疑者の国外逃亡を主導した罪で逮捕され、日本に引き渡されることが先日決まった

M・テイラー容疑者はAP通信の取材に対し、「日本の裁判で不当に扱われることを恐れている」と述べた。

M・テイラー容疑者:
「私は長年陸軍に、アメリカに奉仕しました。私と息子は昨年5月から刑務所に閉じ込められています。政府は陸軍に尽くした男を裏切り、日本に引き渡そうとしています」

国務省は昨年10月に容疑者2名を日本に引き渡すことに同意したが、二人の弁護士が請願を裁判所に提出し、引き渡しは保留されていた。

裁判所はこの請願を先週却下したが、弁護士はボストンの連邦控訴裁判所に控訴した。

テイラー親子の弁護士のひとり、ポール・ケリー氏はAP通信の取材に対し、「政府は2月12日まで二人を日本に引き渡すことはないと保証した」と述べた。

一方、司法省のスポークスマンは声明で、「日本国内で罪を犯し裁判にかけられる被告は、日本の司法が保障しているすべての権利を与えられる」と述べた。なお、ホワイトハウスは容疑者の引き渡しに関するコメントを発表していない。

ケリー弁護士は司法省の主張を否定していないが、「テイラー親子は日本で精神的および肉体的拷問を受けると主張しており、私も日本の司法制度は権威主義体制のそれに類似していると思う」と語った。

テイラー親子の弁護団はドナルド・トランプ前大統領と関係の深い強力な弁護士を2名雇っている。ひとりはトランプ前大統領の義理の息子、ジャレッド・クシュナー氏の顧問弁護士として知られるアッベ・ローウェル氏。もうひとりは元トランプ弁護団のタイ・コブ氏である。

ロイター通信/レバノンに密輸されたカルロス・ゴーン容疑者

P・テイラー容疑者は、「バイデン大統領が日本の要求を見直してくれると思う」と述べた。

P・テイラー容疑者:
「私の父は今80代半ばです。私たちは日本に移送され、拷問を受けるでしょう。私は父が拷問死するところを見たいとは思いません。私は真実を明らかにしたいのです。家族も同様です。私たちはすでに十分に罰せられたと思いませんか?」

M・テイラー容疑者は日本で裁判にかけられる「可能性」があるため、事件の詳細について話すことを拒否した。しかし、ゴーン容疑者をレバノンに箱詰め輸送した時、「息子は日本にはいなかった」と主張した。

裁判官はゴーン容疑者の大脱出を、「最近の歴史の中で最も勇敢かつ組織化された犯罪行為」と呼んだ。

当局はAP通信の取材に対し、「テイラー親子には少なくとも130万ドル(約1.4億円)が支払われていた。ゴーン氏は脱出直前に関連会社から86万ドルを送金し、完了後に50万ドルを支払った」と述べた。

また当局によると、大脱出の日、M・テイラー容疑者はジョージ・アントワーヌ・ザイェク容疑者とチャーター機に大きなブラックボックスを2つ乗せ、大阪に飛んだという。一方、ゴーン容疑者は東京のグランドハイアットホテルでP・テイラー容疑者に接触した。

当局者は、ゴーン容疑者は大きなブラックボックスの1つに忍び込み、空港のセキュリティを通過し、トルコ行きのチャーター機で逃亡したと語った。

M・テイラー容疑者は元グリーンベレーのスキルを活かし、イラクとアフガニスタンで米軍の請負業者として働いていた。

2012年、連邦検察官はM・テイラー容疑者が米軍将校から得た秘密情報を使ってアフガニスタンの兵士を訓練する契約を勝ち取ったと告発した。その後、裁判所はM・テイラー容疑者に懲役14カ月を言い渡した。

現在、ゴーン容疑者はレバノンの首都ベイルートに潜伏している。

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