◎ブラジルの指導者がハンガリーを公式訪問したものは今回が初めて。
2月17日、ブラジルのジャイール・ボルソナロ大統領がハンガリーを訪問し、極右の友人であるオルバーン・ヴィクトル首相と会談した。
オルバーン首相は会談後の共同記者会見でボルソナロ大統領の訪問を「歴史的な外交イベント」と呼び、「両国は世界の大きくグローバルな課題に対するアプローチを共有している」と述べた。
オルバーン首相は記者団に対し、「私たちは移民に対するアプローチも共有している」と強調し、両国は移民の受け入れを促進する国際協定を素早く検知し、それに反対する「早期警告システム」を導入することに合意したと嬉しそうに語った。
オルバーン首相はボルソナロ大統領に顔を向け、「私たちは移民を受け入れても世界は変わらないと認識している、いわゆる正気の連合を形成している」と述べ、EUの移民政策を遠回しに批判した。
ブラジルの指導者がハンガリーを公式訪問したものは今回が初めて。ボルソナロ大統領は16日にロシアを訪問し、ウラジーミル・プーチン大統領と会談した。両首脳はウクライナ危機ではなく貿易などについて協議したと伝えられている。なお、プーチン大統領と緊密な関係を維持するオルバーン首相も今月初めにロシアを訪問している。
オルバーン首相は欧州の緊張が高まっていることについて、「外交で問題を解決することが何より重要」と強調した。
またオルバーン首相は、ボルソナロ大統領とキリスト教社会への支援を拡大することに合意し、伝統的家族モデルへの攻撃に対処すると約束した。「一人の男性と一人の女性が家族を作る。この概念が最も重要であり、我々はできる限りのことをすると誓います」
オルバーン首相は反LGBTと反ゲイを推進している。
一方、10月の大統領選で再選を目指すボルソナロ大統領の支持率は2019年1月の就任以来、最も低くなっている。反対派はボルソナロ政権のコロナ政策を「無策」と呼び、厳しく非難している。
リオデジャネイロ州立大学のマウリシオ・サントロ教授はAP通信の取材に対し、「両首脳の会談は保守派の支持を確保するうえで極めて重要」と述べた。オルバーン首相も4月3日に議会選挙を控えている。
サントロ教授は「両首脳は盟友であるドナルド・トランプ前大統領の敗北に危機感を募らせている」と指摘した。
オルバーン首相はボルソナロ大統領の就任式に出席した数少ない指導者のひとりであり、ボルソナロ大統領の再選キャンペーンを後押ししている。
しかし、両首脳のコロナウイルス対応とワクチン接種へのアプローチは大きく異なっている。
ブラジルの議会上院は昨年、ワクチン接種やマスク着用を推奨しなかったボルソナロ大統領を人道に対する罪などで告発するよう勧告した。
一方、オルバーン首相はワクチンをパンデミックの終息に必要な「唯一の道」と呼び、その重要性を強調している。
両首脳は防衛、水管理、衛生分野などで協力していくという覚書に署名した。
ボルソナロ大統領は記者団に、「ハンガリーではごく短い時間しか過ごせなかったが、今回の会談は両国に大きな影響を与えるだろう」と述べた。