◎今回の契約は推定100万人のシリア難民を含むレバノン人が最も必要としている公正と安全を提供すると期待されている。
2月17日、レバノンの公共事業相はフランスの海運大手がベイルート港のコンテナターミナルを10年間運営する契約を獲得したと発表した。
アリ・ハミエ大臣は記者団に対し、「世界の海運と物流のリーダーであるCMA CGMグループはコンテナターミナルの管理・運営・保守の条件をすべて満たしている」と述べ、契約を歓迎した。
CMA CGMはフランスのマルセイユに本拠を置く世界有数の海運・コンテナ輸送会社で、150を超える定期コンテナ航路で世界150カ国の港湾都市を結んでいる。
レバノンは近代史上最悪と呼ばれている経済危機の真っただ中にあり、貧困率は人口の90%近くに達し、通貨は暴落し、ハイパーインフレは国民の預金を紙屑に変え、失業率を前例のないレベルに押し上げた。
今回の契約は推定100万人のシリア難民を含むレバノン人が最も必要としている公正と安全を提供すると期待されている。
レバノンはイスラム過激派組織ヒズボラの支配下に置かれており、数十年にわたる不正・腐敗・不始末の結果、経済は破綻し2020年8月の致命的な爆発事故を引き起こした。
2020年8月4日にベイルート港で発生した大爆発は歴史上最大の非核爆発のひとつと考えられている。爆心地周辺の建物はほぼ全壊し、爆発の衝撃波は200km先のキプロスに到達した。公式記録によると、犠牲者は少なくとも216人、負傷者は数千人、少なくとも30万人がホームレスになった。
爆発を引き起こした硝酸アンモニウム約2,750トンがベイルート港に放置されていた理由は特定されておらず、事件の責任を取った政治家はひとりもいない。
港の復旧作業は思うように進んでおらず、一部エリアには瓦礫が山積みになっている。
CMA CGMグループは17日の声明で、「運営期間は来月から10年間、目標は20フィートコンテナ140万個の管理」と述べた。また、この契約にはターミナルの再建と近代化のための3,300万ドル(約38億円)の投資計画も含まれており、最初の2年間で1,900万ドルを投資する予定。
CMA CGMはレバノン北部の都市トリポリにある港でもコンテナターミナルを運営している。
レバノンは1943年の独立までフランスの保護領だった。