◎加盟27カ国の指導者たちは今年最後のEU首脳会談後に共同声明を採択した。
2021年12月16日/ブリュッセルのEU本部、左から欧州議会のサッソリ議長、スロベニアのヤンシャ首相、欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長(Geert Vanden Wijngaert/Pool/AP通信)

12月16日、EUの指導者たちはロシア軍がウクライナに侵攻した場合、前例のない厳しい制裁を科すと警告した。

加盟27カ国の指導者たちは今年最後のEU首脳会談後に共同声明を採択した。主要メディアによると、指導者たちはウクライナ東部で進行中の危機を緩和する方法について議論したが、詳細は明らかにされなかったという。

EUは共同宣言の中で、ウクライナ東部におけるロシア軍の増強と威圧的な態度が引き起こした緊張を緩和することが重要と強調し、「EUはウクライナの主権と領土保全を全面的に支持する」と述べた。

また、2015年の停戦協定ミンスクⅡの交渉を支援したフランスとドイツに言及し、「EUはノルマンディー・フォーマット閣僚会合による外交で問題が解決することを強く望んでいる」と述べた。2015年の会合には戦争当事国であるロシア、ウクライナ、分離主義勢力の指導者も参加している。

ロシアは2014年にウクライナ南東部のクリミア半島を併合し、クリミアを「自国の領土」と宣言したが、国際社会はこれを認めていない。

その後、クリミアの北東部に位置するドネツクとルハンシクの分離主義者はウクライナからの独立を宣言した。ロシアは「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立を承認したが、西側諸国とウクライナは分離主義者をテロリストと見なしている。

ウクライナと分離主義者は2015年にドンバス戦争の停戦に合意したが、国境付近では今も小規模な戦闘が続いている。

米国の諜報機関などによると、ウクライナ東部に集まったロシア軍の兵士は最大100,000人にのぼる可能性があるという。ウラジーミル・プーチン大統領は「東部地域へのNATO軍の展開禁止と、ウクライナのNATO加盟を認めない法的保証」をジョー・バイデン大統領に求めている。

EUが準備している制裁の詳細は明らかにされていないが、ドイツ通信社は、「EUはロシアとドイツを結ぶ新しいガスパイプライン、ノルドストリーム2の稼働を承認しない可能性がある」と報じた。ノルドストリーム2の建設工事は完了済みで、現在ドイツの規制当局が運用開始前の審査を行っている。審査の最終承認者はEUの規制当局。

またロイター通信やBBCニュースなどは、ロシアのルーブル(通貨)を世界市場から切り離す可能性があると報じた。これを実施するとロシアだけでなくEUの経済にも深刻な影響が出ると予想されている。

ドイツのオラフ・ショルツ首相は記者団に、「ドイツはノルマンディー形式の交渉を活性化させたい」と語った。

ドイツとフランスは外交を推進し、ロシアが侵攻した場合は制裁を科すべきと主張しているが、ロシアに近いバルト海諸国とウクライナは侵攻前に制裁を科すよう求めている。

ロシアと国境を接するリトアニアのギタナス・ナウセダ大統領は、進行中の脅威を過小評価してはならないと警告した。「ロシア軍はソビエト連邦崩壊以来、最悪の緊張と脅威を地域にもたらしています」

ナウセダ大統領はウクライナだけでなく、バルト海諸国全体とポーランドが危機に瀕していると述べた。ロシアの同盟国ベラルーシは国境を接するポーランドに圧力をかけている。

バルト海諸国の一部の指導者は国際金融取引からルーブルを除外するだけでなく、「ロシアがEU圏内に保有している資産を凍結し、ロシア人の入国を禁止すべき」と主張した。

一方、プーチン大統領は今週、ドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国を含むドンバス地域でロシア語を話す人々に対する扱いは「大量虐殺に見える」と述べ、米国とNATOを強くけん制した。

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