◎COP26を主催するジョンソン首相は、中国、米国、インド、ロシアを含む世界最大の温室効果ガス排出国から気候変動対策の資金とより野心的なコミットメントを引き出したいと考えている。
2021年10月22日/イギリス、ロンドンの医療機関、ボリス・ジョンソン首相(Matt Dunham/AP通信)

10月29日、イギリスのボリス・ジョンソン首相は気候変動を抑制するための行動を速やかに開始しなければ、近代文明は古代ローマと同じ道をたどる可能性があると警告した。

ジョンソン首相はまもなく開幕するグラスゴーCOP26(第26回国連気候変動枠組条約締約国会議)に先立ち行われるG20グループ会議に出席するためにイタリア入りした。

COP26を主催するジョンソン首相は、中国、米国、インド、ロシアを含む世界最大の温室効果ガス排出国から気候変動対策の資金とより野心的なコミットメントを引き出したいと考えている。

ジョンソン首相は記者団に対し、「私たちは古代ローマの滅亡を忘れてはならない」と述べた。「人類、文明、社会は後退することもあります。進行中の気候変動は物事がうまくいっていないことを示す前兆です」

ジョンソン首相は、世界の主要な指導者たちが地球の気温上昇を産業革命以前の平均気温プラス1.5℃に抑えるという目標を達成するためのコミットメントを設定しない可能性があると疑っている。

10月31日に開幕するCOP26は温室効果ガスの純排出ゼロとプラス1.5℃の維持を主要な目標に掲げており、参加する40カ国以上により野心的な気候変動対策を実行するよう促す。しかし、各国の交渉担当と主催国のイギリスは厳しい現実に直面すると予想されている。

ジョンソン首相は、「化石燃料を使うことで裕福になった国々は、気候変動との戦いの最前線に立たなければならない」と述べ、G20の首脳に迅速に行動するよう呼びかけた。

G20の温室効果ガス排出量は世界の総排出量の約75%を占めている。G20内で最も石炭を消費している国は中国で、グループの総使用量の約60%を占める。

ロシアとオーストラリアを含む一部の主要国は、パリCOP21後に設定した炭素削減目標を引き上げていない。なお、世界最大の炭素排出国である中国の習近平 国家主席とロシアのウラジーミル・プーチン大統領はG20グループ会議とCOP26への出席を見送っている。

中国は今週、2060年までに炭素排出量正味ゼロを達成し、2030年までに排出量のピークを迎えるという新しい気候目標を発表した。

しかし、ジョンソン首相は29日に行われた習近平 国家主席との電話会談の中で、排出量のピークを2025年に前倒しするよう求めた。ジョンソン首相は記者団に対し、「中国の目標は野心的とは言えない」と述べた。

世界は現在、パリ協定の目標である「プラス1.5度の維持」から大きく逸脱しており、COP21以降も地球を暖め続けている。

ジョンソン首相はパリ協定とCOP26の目標であるプラス1.5℃を維持するために化石燃料の使用量を減らし、クリーンな車両を導入し、森林破壊を食い止めるよう世界に呼びかけると期待されているが、大きな壁にぶつかると見込まれている。

イギリスのEU離脱とそこに至るまでの乱暴な交渉はEU加盟国を苛立たせ、米国のジョー・バイデン大統領も就任前の演説で懸念を表明していた。バイデン大統領の懸念は、ジョンソン首相がドナルド・トランプ前大統領のポピュリズムに反対しなかったことを反映している。

イギリスは今年、2050年までに炭素排出量正味ゼロを達成し、目標に到達するまでのロードマップを発表した。しかし、10月27日に公表した次年度予算案に野心的な気候変動対策は含まれていなかった。

<COP26の主要原則
・温室効果ガス純排出ゼロに向けた持続可能な復興の推進

・野心的で実行可能な気候変動対策(ロードマップ)の策定

・情報共有によるトランジションの促進

・温室効果ガス純排出ゼロ達成に向けた各産業ごとの脱炭素化とイノベーションの加速

・官民による投資促進

・人々を中心とするトランジションの支援

・新たなエネルギーシステムにおけるエネルギー安全保障の確立

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