◎カナリア諸島ラ・パルマ島の自治体は28日の声明で、溶岩は火口の西の市街地に入り、大西洋から約800mの地点に到達したと述べた。
カナリア諸島ラ・パルマ島の当局者によると、クンブレ・ビエハ山から放出された溶岩はまもなく海に到達する見込みだという。
ラ・パルマ島の南端近くに位置するクンブレ・ビエハ山は19日の午後3時過ぎに噴火し、6,000人以上が避難を余儀なくされた。死傷者は報告されていない。
ラ・パルマ島の自治体は28日の声明で、溶岩は火口の西の市街地に入り、大西洋から約800mの地点に到達したと述べた。
専門家によると、溶岩と海水が接触すると塩素を含む有毒ガスが放出される可能性があるという。
ラ・パルマ島の当局者は、冷え固まった溶岩が新たな溶岩の移動ルートを形成し、移動速度を押し上げたと述べた。
スペイン領カナリア諸島の緊急火山対応部門のチーフを務めるミゲル・アンゲル・モルクエンデ氏は、島民に落ち着いて行動するよう呼びかけた。「溶岩は現在のルートからより平坦な地域に入るため、移動速度は低下すると見込まれています...」
地元メディアによると、溶岩の進行ルートの先には小さな丘や住宅が立ち並んでおり、傾斜はクンブレ・ビエハ山の麓よりはるかに緩やかでほぼ平坦だという。
クンブレ・ビエハ山の噴火活動は27日に多少落ち着いたが、28日未明頃から再び溶岩を大量に放出し始めた。
ラ・パルマ島の当局者は、西部地域の避難は完了しており、大きな混乱が発生するとは思っていないと述べた。自治体は西部地域の広い範囲に避難命令を出している。
溶岩の監視活動に参加しているスペイン海洋学研究所のエウジェニオ・フライレ氏は地元メディアの取材に対し、「保護具を着用する当局者だけが避難命令の出ている地域への立ち入りを許可されている」と語った。
スペインの国立地理研究所によると、28日未明の噴火前に火口周辺で6回地震を観測し、最も大きな揺れはM3.3だったという。
溶岩は山の尾根に沿って西に流れ、地域に深刻な影響を与えた。当局によると、これまでに580軒以上の家屋と周辺の道路が溶岩に飲み込まれたという。農地の被害面積は27日時点で250ヘクタールを超えたと見積もられている。
溶岩と火山灰はラ・パルマ島の主要産業である観光とバナナの輸出に深刻な影響を与えると予想されている。避難命令の出ている地域でバナナを栽培している農家は、出荷前のバナナをトラックに積み込み、安全な地域に避難した。
火口の東に位置するラ・パルマ空港は24日から火山灰と灰を含む雲の影響で運航を停止している。
スペイン政府は28日の閣議後の会見で、自宅を失った人々への緊急支援を提供すると発表した。イサベル・ロドリゲス報道官によると、スペイン政府は避難命令が解除され次第、公共インフラの再建に向けた新たな支援を提供するという。