◎6人は厳重と信じられていたギルボア刑務所の独房から地下トンネルを進み、高さ数メートルの外壁の外に出たと考えられている。
2021年9月12日/イスラエル、ヨルダン川西岸北部ジェニンの国境近くをパトロールするイスラエル兵(Getty Images/AFP通信/PAメディア)

9月19日、イスラエル軍は2週間前にギルボア刑務所から脱獄したパレスチナの過激派6人のうち、逃亡を続けていた最後の2人を逮捕したと発表した。

6人は厳重と信じられていたギルボア刑務所の独房から地下トンネルを進み、高さ数メートルの外壁の外に出たと考えられている。

6人のうち5人は過激派組織イスラム聖戦の戦闘員で、そのうち4人は複数の犠牲者を出したテロに関与した罪で終身刑、もう1人は2年の実刑判決を言い渡されていた。残り1人はヨルダン川西岸地区に本拠を置く原理主義組織アル・アクサ殉教者旅団(AAMB)のザカリア・ズベイディ元司令官で、多数の銃撃事件に関与した罪で2019年に逮捕され、裁判にかけられている最中だった。

ズベイディ元司令官は11日にイスラエル北部の町で逮捕された。

政府は今回の脱獄事件で刑務所のセキュリティに欠陥があったことを世間に知られ、赤っ恥をかいた。一方、ユダヤ人に虐げられているパレスチナ人は6人を英雄と呼び、イスラエルの失態に歓喜した。

パレスチナのメディアによると、イスラエル軍はジェニンに潜伏していた2人を逮捕するだけでなく、民家を破壊したという。

しかし、イスラエル警察は19日の声明で、「ムナディル・ナファヤット容疑者とイハム・カマンジ容疑者は抵抗することなく逮捕されたが、周辺住民たちが軍の兵士に石や爆発物を投げつけ、火災が発生した」と述べ、軍の当局者は破壊に関与していないと主張した。

ナファヤット容疑者の父親であるフアッド・カマンジ氏はAP通信の取材に対し、「息子はイスラエル軍に避難場所を取り囲まれ、降伏した」と語った。「息子は匿ってくれた家の所有者の身を案じ、降伏すると電話で私に言いました...」

イスラエルのナフタリ・ベネット首相は19日、警察当局の「洗練された容疑者追跡作戦」を称賛した。「当局は6人をひとり残らず速やかに逮捕しました。ギルボア刑務所の問題も速やかに修正されるでしょう」

ヨルダン川西岸とガザ地区のパレスチナ人は脱獄を祝い、6人を支援するデモを各地で開催していた。パレスチナ人はイスラエル軍や警察に対する攻撃を「不当な占領」に対する正当な抵抗と見なしており、誇りの源になっている。

ガザ地区を実効支配するイスラム過激派組織ハマスとつながりのある戦闘員は先週、6人中4人が逮捕されたことに抗議するロケット攻撃をイスラエルに仕掛け、イスラエル軍は報復としてハマスの拠点を空爆した。

一方、11日に逮捕されたズベイディ元司令官の弁護士は地元メディアに、「スベイディ氏は手錠をかけられた状態で何度も殴打された」と語った。

イスラエルの治安当局はパレスチナの囚人に対する拷問で何度も非難されてきた。イスラエルの最高裁判所は1999年の判決で拷問を禁じたが、国内で活動している複数の権利団体は軍や警察による拷問は日常茶飯事で、加害者が責任を問われることはほとんどないと非難している。

イスラエルは1967年の第三次中東戦争でガザ地区、シナイ半島、ヨルダン川西岸地区(東エルサレム含む)、およびゴラン高原を占領したが、国際社会はこれを認めていない。

聖地エルサレムを奪われた数百万人のパレスチナ人はガザ地区とヨルダン川西岸地区に押し込められ、みじめな生活を送っている。

2021年9月6日/イスラエル、ギルボア刑務所の脱獄ルートを調査する当局者(Sebastian Scheiner/AP通信)
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