◎アシュラフ・ガニー大統領は15日に大統領宮殿を飛び出したと伝えられている。
アフガニスタンの現地メディアによると、首都カブールはタリバンに占領され、アシュラフ・ガニー大統領は国民を置いて国外に逃亡したという。これにより、約20年間続いたアメリカ主導のアフガニスタン再建計画は終わりを告げた。
ロイター通信やAFP通信などの主要メディアは、「タリバンはまもなくアフガニスタン・イスラム首長国の創設を発表する」と報じた。
AP通信は公に発言することを許可されていないタリバン当局者のコメントを引用し、「アフガニスタンは9.11以前の国名に戻る」と報じた。
ガニー大統領は15日に大統領宮殿を飛び出したと伝えられている。
アフガニスタン国民和解評議会のアブドラ・アブドラ議長は声明で、「前大統領はこの困難な時期に国民を置き去りにして国を離れました」と述べた。「神は彼に責任を負わせるべきです...」
ガニー大統領はその後フェイスブックに声明を投稿したが、現在地は明らかにしなかった。声明によると、ガニー大統領は首都カブールでの激烈な戦闘を避けるために逃亡を選択したという。
アメリカとNATOはアフガニスタン政府と軍の増強に数十億ドルを費やしたが、タリバンは驚くべき速さで首都を占領した。特にここ1週間の電撃作戦はすさまじく、国軍はほとんど戦うことなく降伏したと伝えられている。
ほんの数日前、米軍は「首都カブールに圧力がかかるのは約1カ月後」と予測していた。
ビスミッラー・ハーン・モハマディ防衛相は15日、逃亡したガニー大統領に対する怒りを抑えなかった。モハマディ防衛相はツイッターに、「ガニーは私たちの手を後ろで縛り、国を売った」と投稿した。「ガニーとその取り巻きは国民を裏切りました...」
タリバンは以前、戦闘員たちは住民に暴力を振るわず、仕事に干渉せず、政府や外国軍に協力した人々に「恩赦」を提供すると述べていた。しかし、タリバンが最近占領した地域では即決処刑が行われているという報告が複数寄せられており、不安を引き起こした。
女性ジャーナリストのゲティー・アザミ氏は、タリバンの戦闘員と思われる武装した男たちが目の前に迫っているという涙のメッセージを同僚に送った。その後、アザミ氏がどうなったかは分かっていない。
タリバンは15日、首都を除く最後の主要都市である東部ナンガルハール州の州都ジャララバードをまず占領した。
AP通信によると、タリバンはホースト州、カーピーサー州、パルヴァーン州などの州都と政府が保持していた最後の国境検問所も占領したという。
その後、バグラム空軍基地（旧米軍基地）の国軍もタリバンに降伏した。基地内にある刑務所にはタリバンとイスラム国（ISIS）を含むジハード組織の戦闘員約5,000人が収容されていた。
一方、首都カブールの空港では散発的な銃撃戦が発生し、商用便の運航は停止されたと伝えられている。これにより、国内の住民は最後の脱出ルートを失った。
アントニー・ブリンケン米国務長官は15日に放送されたABCニュースのインタビューの中で、一連の混乱と米大使館職員撤退作戦、そして米軍撤退作戦は1973年のベトナム敗走とは異なると強調した。
1973年、米軍はベトナムから全面撤退し、北ベトナム共産軍は南ベトナム連合軍に殴りかかり、ニクソン米大統領はウォーターゲート事件に直面後辞任し、アメリカは世界の笑い者になった。
多くの米国民が、「アメリカはアフガニスタン（戦争）に永遠に関与することはできない」というトランプ政権とバイデン政権の考えを支持した。
しかし、軍人を含む多くの批評家が「今はまだ撤退すべきではない」と警告した。バイデン大統領はアフガニスタン軍の戦力はタリバンをはるかに上回っていると信じていた。
撤退作戦の詳細はトランプ政権が構築した可能性があるが、今責任を負っているのはバイデン大統領である。
アフガニスタン戦争の基本情報
・アメリカ主導の連合軍は2001年10月にアルカイダやタリバンを含むジハード組織を追放した。その中には9.11同時多発テロの首謀者であるウサーマ・ビン・ラーディンも含まれていた。
・アメリカはアフガニスタン政府と軍に800億ドル（約9兆円）以上投資し、武器と兵力の強化を支援した。
・2020年2月、アメリカのドナルド・トランプ前大統領はタリバンとの歴史的な和平合意に達した。
・タリバンはアメリカとの取引の中でアフガニスタン政府と和平に向けた協議を推進すると約束したが、交渉は破綻した。
・タリバンやイスラム国（ISIS）を含むジハード組織は連合軍への攻撃を再開し、戦争は20年たった今も続いている。
