◎エリトリア軍の兵士はシャイア、アクスム、アドワの町を去ったと伝えられているが、本当に撤退したかどうかは明らかにされておらず、世界の主要メディアも現地の状況を確認できていない。
6月29日、エリトリア軍の兵士はエチオピア北部ティグライ地域の3つの主要な町から撤退した。
エチオピアのアビィ・アハメド首相は28日にティグライ紛争の停戦を一方的に宣言したが、ティグライの特定の地域を支配するティグレ人民解放戦線(TPLF)は「敵」を追い出すと誓い、紛争はすぐには終わらないことを示唆した。
国軍とTPLFの戦闘は昨年11月初めに本格化し、ティグライの住民推定200万人が国内避難民になり、数万人が隣国スーダンに逃亡し、35万人以上が飢餓状態に陥り、数千人が死亡した。TPLFは他の反政府勢力と連合を組み、ティグライ国防軍(TDF)を結成したと主張したが、政府はTDFの存在を否定している。
エリトリア軍の兵士はシャイア、アクスム、アドワの町を去ったと伝えられているが、本当に撤退したかどうかは明らかにされておらず、世界の主要メディアも現地の状況を確認できていない。エリトリアは世界で最も抑圧的な国のひとつであり、人権団体の入国やメディアの取材を拒否している。AP通信によると、エリトリアの情報省は撤退の質問を却下したという。
アメリカのロバート・ゴデック国務次官補は下院外務委員会の中で、「エリトリア軍がティグライから撤退したかどうかは分からない」と述べた。「エリトリア軍とティグライのゲリラ軍が停戦宣言にコミットしているかどうかは分かりません。彼らは声明を発表していない...」
ティグライ地域のTPLFと国軍の戦闘は最近激化したと伝えられており、TPLFは28日に州都メケレを奪還した。
ティグライ国民国家政府と名乗る組織は28日の声明で、「州都メケレはTDFの完全な支配下に置かれた」と述べ、国軍に勝利したと宣言した。
ティグライ国民国家政府は、「ティグライから全ての侵略軍が完全に撤退するまで絶えず警戒し続ける」と述べた。侵略軍には国軍も含まれると思われる。
ティグライの指導者のひとりと考えられているゲタチュー・レダ氏はロイター通信に対し、「ティグライの戦闘員たちはエチオピア軍を支援するエリトリアだけでなく、隣のアムハラ地域にも侵攻し敵を破壊する」と述べた。エリトリアとTPLFは領土をめぐる争いでお互いを非難しており、エチオピア・エリトリア国境紛争(1998~2000)で激しく衝突した。
AFP通信によると、州都メケレの暫定政府はティグライ国民国家政府が地域を占領したため、28日に解散することを決定したという。
メケレの住民はティグライ国民国家政府を歓迎したと伝えられている。AFPの取材に応じた住民は、「誰もが興奮し、路上で音楽を聴いています」と述べた。
国連は先日、ティグライで深刻な食糧不足が発生しており、推定500万人が食料援助を必要とし、35万人以上が餓死しかけていると報告した。アメリカは別の報告で、最大90万人が飢餓に直面し、その多くが飢え死にすると警告した。
ゴデック米国務次官補は「食糧不足は完全に人災」と述べた。
米国際開発庁のサラ・チャールズ管理補佐は下院外務委員会の中で、「現地の状況は来週か2週間後にはある程度明らかになるだろう」と述べた。チャールズ氏はエチオピア政府にティグライの「通信制限」を解除するよう呼びかけ、主要道路の検問所を解放したうえで、人道機関の支援物資を現地に届けなければならないと強調した。
国連のステファン・ドゥジャリック報道官は29日、「現在の状況が人道活動に与える影響は今のところ不明」と語った。「戦闘は続いており、地域に物資を届ける作業は滞っています...」
ドゥジャリック報道官は、「メケレの空港は閉鎖されており、支援物資を提供するためのルートは解放されていない」と述べた。