◎EUは加盟27カ国に対し、「ベラルーシの航空会社が運航する旅客機の着陸、離陸、または領土の上空の飛行を禁止する」よう要求したが、施行は加盟国に委ねられている。
6月4日、EUはベラルーシの航空会社が運行する旅客機の圏内への立ち入りを禁止する新たな制裁を発効した。
EUの指導者たちはベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領のハイジャックに激怒し、すでにいくつかの制裁を強化している。
ルカシェンコ大統領は先月、ギリシャからリトアニアに向かっていた英ライアンエアーの旅客機の機内に爆弾が仕掛けられているとウソをつき、首都ミンスクの空港に着陸させたうえで、搭乗していた反対派ジャーナリストのラマン・プロタセビッチ氏とガールフレンドのソフィア・サペガ氏を逮捕した。
プロタセビッチ氏は4日、ベラルーシの国営テレビに強制出演させられ、自白を強要され、「ルカシェンコ大統領を尊敬している」と涙を流しながら語った。
プロタセビッチ氏の家族は自白強要番組を却下し、人権団体はプロタセビッチ氏の手首に拷問を受けた跡が残っていたと指摘した。
今回の措置はベラルーシに対する広範な制裁措置の一部であり、6月5日の0時に発効した。EUは加盟27カ国に対し、「ベラルーシの航空会社が運航する旅客機の着陸、離陸、または領土の上空の飛行を禁止する」よう要求したが、施行は加盟国に委ねられている。
ベラルーシの国営航空会社ベラヴィアは、ミラノ、ベルリン、パリ、ローマ、ウィーンなど、欧州の約20の空港で便を運航している。
欧州航空安全機関(EASA)は4日、EUの航空各社に、緊急時を除き、ベラルーシの領空を避けるよう求める指令を出した。
EASAによると、今回の制裁はベラルーシの領空を毎日飛行する民間旅客機約400便に影響を与える可能性があるという。
航空各社を代表する団体はEUの制裁を非難した。
国際航空運送協会(IATA)のウィリー・ウォルシュ事務局長は声明で、「EUは安全基準に基づき定められた航空会社の飛行ルートを政治に利用している」と述べた。「私たちは2つの過ちを正さなければなりません。政治家は旅客機の運行を妨害してはいけません。そして、政治または外交問題を解決するために旅客機の飛行ルートを利用すべきではありません」
ベラルーシと隣国リトアニアの緊張は高まっており、ルカシェンコ大統領は意図的に不法移民をリトアニアに送り込んでいる可能性があると伝えられている。リトアニア政府は昨年のベラルーシ大統領選に立候補した野党指導者のスヴャトラーナ・ツィハノウスカヤ氏の亡命を快く受け入れ、ルカシェンコ大統領を厳しく非難してきた。
リトアニアの国境警備隊は4日、過去24時間に国境を超えようとした不法移民52人を拘束したと述べた。これは2020年の拘束数の倍以上に相当する。
リトアニアのアグネ・ピロタイテ内務大臣は、「ルカシェンコ政権は組織化された不法移民の活動を支援している可能性がある」と述べた。