◎ゴーン容疑者は物議を醸した逮捕と世界を震撼させた一連の大脱出以来、レバノンの首都ベイルートに潜伏している。
AP通信によると、日産自動車の会長から逃亡者に転向したカルロス・ゴーン容疑者は、フランスの捜査当局が事件の真実を明らかにすることを望んでいるという。
ゴーン容疑者は物議を醸した逮捕と世界を震撼させた一連の大脱出以来、レバノンの首都ベイルートに潜伏している。
ルノー・日産・三菱アライアンスの元会長はAP通信の独占インタビューの中で、日本、フランス、オランダで発生した一連の問題を分析し、大阪の空港で決行した大脱出劇を振り返った。
ゴーン容疑者は2018年11月に金融商品取引法違反で逮捕され、保釈中の2019年にレバノンに逃亡した。ゴーン容疑者の逃亡に関わった元米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)のマイケル・テイラー容疑者と息子のピーター・テイラー容疑者は今年2月にアメリカから日本に引き渡されている。初公判は6月14日に行われる予定。
ゴーン容疑者は、「多くの巻き添え被害を被りました」と語った。「しかし、私は犯罪には関わっていません。私を倒そうとした者たちこそ、罪に問われるべきです。私は日産自動車の業績悪化に関連する企業クーデターの犠牲者です。報酬の過少報告と会社の資産を悪用したという告発は全て誤りです」
ゴーン容疑者は、ルノーの申し立てを調査するフランス当局の尋問をベイルートで受けることに同意したと述べた。ルノーの取締役会は2019年、同社と日産自動車が実施した内部監査の結果、1,100万ユーロ(約15億円)の不正な支出にゴーン容疑者が関わっていることを突き止め、告訴した。
「日本の警察は日本語で質問し、日本語で書き、日本語で何かに署名してほしいと言いました。ここではフランス語で話し、弁護士を同席させることができます。私は日本よりフランスの法制度の方がはるかに優れていると確信しています」とゴーン容疑者は語った。
日本の法制度は他の主要先進国と変わらないと伝えられているが、ゴーン容疑者は「独房に監禁され、弁護士はどこにもおらず、裁判前に有罪判決が決まっていた」と主張した。
国際刑事警察機構(ICPO)の指名手配リストのトップにノミネートされた国際指名手配犯は、「オランダの裁判所が日産三菱BV(NMBV)に対する請求を却下し、2018年に受け取った給与約500万ユーロ(約7億円)を返還するよう命じたことにショックを受けた」と語った。
ゴーン容疑者はNMBVに解雇されたことに腹を立て、裁判で覆そうとしたが、返り討ちにされた。しかし、ゴーン容疑者は「私は上訴する」と誓約した。「私はします。上訴しなければなりません。ええ、上訴...」
ゴーン容疑者は同じ日に逮捕されたグレッグ・ケリー被告(元日産副社長)を弁護した。「彼は無実です。私は彼がおかれている状況を知っています。彼は独房でひどい目にあっているでしょう」
ケリー被告はゴーン容疑者の報酬を約90億円過少報告した金融商品取引法違反の罪に問われている。
逃亡者ゴーンは大脱出劇の一部をAP通信に語った。「非常に大胆な作戦でした。とてつもなく大胆だったので、成功するかもしれないと思いました」
しかし、楽器の箱に隠れていたという報告が事実かどうかについては言及せず、起訴された元グリーンベレー親子の裁判に関わることは話したくないと述べた。
ゴーン容疑者は昨年8月4日に発生したベイルート港の大爆発で自宅が損傷し、約6カ月かけて修理したと語った。「大変な1年でした。心臓発作を起こしたような気分です。私の人生は変わってしまいました」
「困難は突然やってきます。私たちは厳しい現実に適応しなければなりません。しかし、私は戦うと誓います。私は無実を証明するつもりです」