◎モハメド大統領の任期は2月初旬に満了を迎えたが、下院は4月12日に2年の延長を決定し、野党を支持する武装兵士たちの激しい反発に直面した。
5月1日、ソマリアの議会上院は、物議を醸しているモハメド・アブドラヒ・モハメド大統領の2年間の任期延長決議を却下した。
モハメド大統領の任期は2月初旬に満了を迎えたが、下院は4月12日に2年の延長を決定し、野党を支持する武装兵士たちの激しい反発に直面した。EU、アメリカ、ソマリアの国連事務所も任期延長に反対していた。
モハメド大統領は開会の辞で、任期延長の決定を覆すよう上院議員たちに要請した。延長に反対する野党の武装兵士たちは首都モガディシュで治安部隊と激しく衝突し、さらに、イスラムジハード組織アル・シャバブが複数の自爆テロを計画しているという噂も流れていた。
モガディシュの路上で自国の兵士が撃ち合うという異様な光景は、内戦で荒廃した国を立て直そうとしているソマリア人の恐怖を煽った。国際社会は、アル・シャバブなどのジハード軍が混乱を利用して攻勢を強める恐れがあると懸念を表明している。
モハメド大統領の任期満了に伴い、上下両院の議員たちは2月初旬に延期が決まった国政選挙の実施方法について再び話し合うことになる。
モハメド大統領は演説の中で、昨年9月に連邦政府と地方州が締結した合意を順守するよう議会に求めたうえで、モハメド・フセイン・ローブル首相に選挙の準備と関連する安全対策を主導するよう要請した。「私は国民、国家、宗教のために民主的な選挙を行うよう議会に求めます。野党は治安部隊への攻撃を速やかに停止してください」
モハメド大統領は任期延長の混乱に伴う衝突で犠牲になった市民と避難民になった人々に哀悼の意を表した。国連によると、4月中旬以来、少なくとも数万人が首都モガディシュから逃れ、国内避難民になったという。
一部の野党議員はモハメド大統領の辞任を望んでいたと伝えられている。なお、モハメド大統領は2期目を目指すかどうかを明らかにしていない。
大統領候補のひとり、野党のアブディラマン・アブディシャクール議員は、「モハメドの言うことは信用できない」と述べた。
ローブル首相は1日、野党の武装兵士たちに兵舎に戻るよう呼びかけたが、一部の兵士はモガディシュの路上にとどまった。現地メディアによると、銃撃戦は発生しなかったという。
モガディシュのホーダン地区から逃れた避難民のモハメド・アブドゥル・ファラー氏はAP通信の取材に対し、「あなた(記者)は戦地にあなたの妻と子供を連れて行きたいと思いますか?」と述べた。「銃撃戦はいつ発生するか分かりません。自動車爆弾が爆発する可能性もあります。少なくとも選挙が行われるまで、私たちはキャンプにとどまります」
ソマリアは世界で最も危険な国のひとつであり、ソマリア・EU・アメリカ連合軍はアルカイダ、アル・シャバブ、アルヒジュラ、ムジャヒディン、ISIL、ソマリアのイスラム国などのジハード組織と対峙している。2009年に始まった内戦が終結する見通しは立っていない。