◎イランのアヤトラ・アリ・ハメネイ最高指導者は政府高官と国営メディアに対し、「(アメリカが)イランに約束してほしいと望むのであれば、制裁を全て解除しなければならない。拒めば、私たちは(核を)検証し続けるだろう…そして私たちは私たちの約束(核爆弾の製造)を達成するだろう」と語った。
2月7日、イランのアヤトラ・アリ・ハメネイ最高指導者はジョー・バイデン大統領に対し、アメリカが科している制裁を全て解除することが核合意の約束を果たす条件と圧力をかけた。
一方、バイデン大統領は昨年の選挙キャンペーン期間中から、「イランが約束を順守するのであれば、核合意への復帰を検討する」と述べていた。
ハメネイ氏は政府高官と国営メディアに対し、「(アメリカが)イランに約束してほしいと望むのであれば、制裁を全て解除しなければならない。拒めば、私たちは(核を)検証し続けるだろう...そして私たちは私たちの約束(核爆弾の製造)を達成するだろう」と語った。
バイデン大統領はCBSニュースが公開したインタビューの中で、イランの提案を拒否している。
バイデン大統領はCBSニュースのアンカーに「アメリカはイランとの交渉を再開するために、先に制裁を解除するか?」と質問され、「それはない」と答えた。
ジョー・バイデン大統領:
「イランがウラン濃縮を停止したうえで核合意を順守すると誓約するのであれば、私は交渉のテーブルに座る」
イランは先月初めに地下核プラント「フォード(Fordo)」で濃縮度20%の高濃縮ウランの生産を再開した。
イラン核合意(包括的共同行動計画:JCPOA)は3.67%以上のウラン濃縮を禁止している。
<ウラン(U-235)の濃縮度>
・0.7%:標準
・2~5%:原子炉燃料(軽水炉用)
・3.67%以下:イラン核合意の規定値
・20%以上:高濃縮ウラン
・90%以上:核兵器用
2018年、トランプ前大統領はJCPOAから離脱することを一方的に決め、イラン経済の生命線、原油取引の禁止に踏み切った。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はトランプ前大統領の決断を「英断」と絶賛し、二人の友情はより強固なものになった。
一方、イランはウラン濃縮のリミッターを解除し、経済制裁を解除しなければ中東の混乱は加速すると圧力をかけ続けている。
バイデン大統領は以前、JCPCAへの復帰を目指していると述べたが、まずはイランが姿勢を改めなければならないと繰り返し主張している。
ハメネイ氏は、「これ(ウラン濃縮)はイスラムの決定、不可逆的な政策であり、国の当局者全員が全会一致で認めている。私たちの意思を変えることはできない」とバイデン大統領に圧力をかけた。
ハメネイ氏はイランの政治に関わる全ての問題の最終決定権を持っている。2015年、ハメネイ氏はJCPOA締結とそこに至ったP5プラス1(安保理常任理事国の米、中、露、英、仏+独)の努力を承認した。
しかし、トランプ前大統領のイランに対する圧力はJCPOAを破壊し、イランは核開発のコミットメントを却下したうえでウラン濃縮度を高めた。
バイデン大統領は気候変動や移民問題などに対処する大統領令に署名し、トランプ前大統領の政策を覆したが、JCPOAとイランの制裁に関しては、指導者の対応次第で前政権の政策を維持する構えを見せている。
ハメネイ氏は声明の中で、「兵器級レベルに近いウラン濃縮を開始し、核弾頭の重要な構成要素であるウラン金属製造に向けた実験を加速させる」と述べた。
アヤトラ・アリ・ハメネイ最高指導者:
「私たちは平和目的のために核開発を行っている。そして、イランはアメリカの対応次第で、合意を元に戻すことができる」