2017年11月16日 Getty Images/イエメン、反政府武装勢力フーシ

12月3日、国連の機関は内戦で荒廃したイエメンの飢饉を防ぐ道は確実に狭まっており、何百万もの人々が深刻な食糧難と大規模な飢饉に直面すると警告した。

世界食糧計画(WFP)、ユニセフ、食糧農業機関(FAO)の共同声明によると、「2021年半ばまでにイエメンの人口(約3,000万人)の半数以上が深刻な食糧難に陥るリスクがある」という。

WFPのデビッド・ビーズリー事務局長は、「世界に現実を直視するよう呼びかけなければならない。イエメンは大規模な飢饉の危機に瀕している。助けを求めている何百万もの家族に背を向けてはいけない」と述べた。

イエメンを荒廃させた内戦は、イランの支援を受けるシーア派反政府武装勢力フーシが首都サナアを2014年に占領し、指導者を追い出したことで始まった。

翌年、イエメン政府を支援するサウジアラビア主導の連合軍とフーシの戦いが本格化し、イランの影響力を抑制した。それ以来、10万人以上の戦闘員と民間人が死亡したと伝えられている。

国連の声明のよると、食糧不安の「緊急段階(飢饉の前兆)」に直面するイエメン市民は、2021年前半までに360万人から500万人に増加すると予想されているという。

また、飢餓状態にある市民の数は、2021年1月から6月の間で16,500人から47,000人に増加する可能性があると警告した。

WFP デビッド・ビーズリー事務局長:
「間違いなく、2021年のイエメンの状態は今年より悪化するだろう。大規模な飢饉はまだ防ぐことができる。しかし、市民を救う道は日を追うごとに狭まっている」

ここ数カ月、中東の主要国は約束していた支援を提供できず、イエメンの人道援助は大幅に減少した。

先月、国連人道問題調整事務所(OCHA)のマーク・ローコック調整官は国連安全保障理事会に、支援が2019年の半分以下に減少していると訴えた。

2019年の援助額は約30億ドル、今年は15億ドルに満たない。

マーク・ローコック調整官:
今年の食糧援助を含む人道支援の削減は、これまでに達成した食糧安全保障の向上を消し去り、食糧危機を悪化させた

「削減は来年も継続される可能性がある。支援が足りなければ、危機はさらに悪化するだろう」

2020年7月8日 Getty Images/イエメン、反政府武装勢力フーシ

イエメン内戦について

(2015年)
・1月22日:フーシのクーデターでハーディー暫定大統領とバハーハ首相が辞任。

・2月6日:フーシが議会を強制解散させ、暫定統治機構「大統領評議会」を開設した。

・2月21日:ハーディー暫定大統領が辞意を撤回、フーシ派との対立激化。

・3月25日:フーシ派がハーディー暫定大統領の拠点を襲撃。ハーディー暫定大統領はボートで脱出した。

・3月26日:サウジアラビア連合軍、空爆を開始。

・7月17日:ハーディー政権、フーシ派から第2の都市アデンを奪還したと宣言。

・8月4日:ハーディー政権、フーシ派からアルアナド空軍基地を奪還したと宣言。

・8月11日:ハーディー政権、アビヤン州を制圧。

・8月15日:ハーディー政権、5つ目の州を奪還。サウジアラビア連合軍の支援と空爆で攻勢に出る。

・8月19日:人道支援団体アムネスティ・インターナショナルは、首都サナア、アデン、タイズへの攻撃中に、サウジアラビアが戦争犯罪を行なっていると指摘、非難した。

・8月24日:世界食糧計画(WFP)、600万人が深刻な食糧難に陥り、緊急支援を必要としていると警告。

・9月22日:ハーディー暫定大統領が、半年ぶりにイエメンに帰還。

・10月15日:フーシがサウジアラビアの空軍基地に弾道ミサイルを発射。

(2016年)
・4月3日:ハーディー暫定大統領がバハーハ副大統領兼首相を解任。

・9月9日:米軍とイエメン軍、国際テロ組織アラビア半島のアルカイダ(AQAP)に捕らわれていた人質の救出作戦を実行。人質3人は抗戦中に死亡した。

・10月4日:フーシ派がハーディー政権に対抗する「救国政府」樹立を宣言。

(2017年)
・5月:フーシ、国内のコレラ感染が急速に悪化したことを受け、非常事態を宣言。

・6月5日、イエメンとカタールが国交断絶。カタール政府がフーシを支援していたため。

・11月4日:フーシがサウジアラビアの首都リヤドをに弾道ミサイルを発射。

・11月6日:サウジアラビアがイランの支援を防ぐ名目でイエメンの国境を封鎖。

・12月4日:フーシがサーレハ前大統領の乗った車を襲撃、殺害したと発表。

2020年3月2日 Getty Images/イエメン、アルジョーフ地域

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