ジョー・バイデン氏は大統領選挙への参加を表明した際、「アメリカを築いた労働者と労働部門を橋渡しできる価値観」を支持すると宣言した。
今、アメリカはコロナウイルスや人種的不平等など、様々な問題に直面している。
バイデン氏のやりたいことは労働者に対する新しい経済機会を創出し、環境保護と医療の権利を回復し、国際的な同盟を結び、強化することである。
コロナウイルスへの対応
バイデン氏は「全てのアメリカ国民に無料テストを提供」し、全国的なコンタクト・トレーシングプログラムを設定するために「10万人を雇う」と述べている。
選挙期間中、バイデン氏は全ての州に少なくとも10のテストセンターを設置し、連邦政府の専門家を通じてより強固なガイダンスを提供するよう呼び掛けたいと述べた。また、全ての州知事に「マスクの着用を義務付けるべき」と明言している。
連邦政府を疑う有権者はこの対策を行き過ぎと見なすかもしれないが、政府の果たすべき役割と主張するバイデン氏の方針と見解は民主党本部の意見と一致している。
最低賃金引上げとグリーンエネルギーへの投資
バイデン氏はコロナ危機への対処方法として、「中小企業への融資を拡大」し、「国民への金銭の支払いを増やす」と誓った。
この提案の中には、「トランプ時代の減税の撤回」「月額200ドルの社会保障費負担」「連邦政府の学生ローンの免除(10,000ドルまで)」などが含まれる。
バイデン氏の経済政策「ブルー・バック・ベター計画」は、民主党を支持する2つの支持層、若者とブルーカラー労働者を主に支援する。
バイデン氏は連邦の最低賃金を1時間あたり15ドルに引き上げる提案を支持し、若者だけでなくチーム左派にも配慮した。
またバイデン氏は、グリーンエネルギー部門への2兆ドルの投資を望んでおり、その部門を後押しすることで、多くの雇用を生み出すと主張している。
さらに、新しい輸送プロジェクトに「バイアメリカン法」を組み合わせ、連邦予算4,000億ドルでアメリカ製品を購入すると誓約した。
なおバイデン氏は以前、北米自由貿易協定(NAFTA)を支持していると述べ、批判されている。
バイデン氏は2020年だけで、アメリカ製の材料、サービス、研究、技術に3,000億ドルの投資を求めている。
バイアメリカン法:政府調達において米国製品の購入・使用を義務付ける複数の規定
刑事司法改革、マイノリティコミュニティへの助成金
バイデン氏は「アメリカで生活するマイノリティを支援する幅広い経済的・社会的プログラムを整備しなければならないと信じている」と述べた。
人種的不平等に対するバイデン氏の政策の柱は、300億ドルの投資ファンドを通じてマイノリティへのビジネスサポート体制を整備することである。
刑事司法に関しては、1994年に起草した犯罪法(通称:クリントン犯罪法、バイデン犯罪法)で批判にさらされ、方針を転換している。
バイデン氏は投獄を減らし、司法制度における人種、性別、所得に戻づく格差に対処し、釈放された者を更生させる政策を提案した。
また、200億ドルの助成金プログラムを作ったうえで、「州の投獄削減努力」「強制的な最低刑の廃止」「マリファナの合法化」「大麻関連の有罪記録の抹消」「死刑廃止」を目指すと述べた。
一方、バイデン氏は警察予算削減への呼びかけを拒否し、現在の予算の一部はメンタルヘルスなどの社会サービスに振り分け、新たな警察プログラム(3億ドル)を用意すると主張している。
パリ協定
バイデン氏は気候変動を実存的脅威と呼び、パリ協定に再び参加することで、温室効果ガスの排出量抑制に向けた努力を世界各国とともに加速させると述べている。
アメリカは2005年の排出量に基づき、2025年までに温室効果ガスを最大28%削減するとパリ協定で約束していた。
バイデン氏は左派のグリーンニューディール政策を受け入れていない。しかし、グリーンテクノロジー研究への1.7兆ドルの投資を提案し、「2050年までにアメリカの温室効果ガス排出量を正味ゼロにする」と誓約した。
1.7兆ドルの投資は、「グリーンエネルギー部門への投資で雇用を創出する計画」と一致する。
アメリカの評判を取り戻し、中国とうまくやる
バイデン氏は「まず国内の問題に集中する」と述べた。
しかし、バイデン氏の外交政策に対する価値観は、トランプ大統領の孤立主義とは対照的であり、その考えを改めることはないと思われる。
バイデン氏はアメリカの同盟国、特に反抗的なトランプ大統領がしつこく脅した北大西洋条約機構(NATO)との同盟関係を修復すると約束している。
一方、中国に対しては、不公正な取引と貿易慣行の責任を問われるべきだと主張したが、一方的な関税ではなく、他の民主主義国家との協調を提案した。
オバマケアの拡大
バイデン氏は国民健康保険制度、アフォーダブル法(AFA/オバマケア)を拡大し、国内で生活する推定97%のアメリカ人に保険を提供すると提案した。
左派の提案する国民皆保険には及ばないが、バイデン氏は全てのアメリカ人に公的医療保険の加入オプションを与えると約束した。
連邦予算委員会は、バイデンケアの予算は10年間で2.25兆ドルと見積もっている。
トランプポリシーの撤廃
バイデン氏は就任から100日以内に亡命申請数の制限を撤回し、特定イスラム諸国からの旅行禁止措置を解除し、そして両親と引き離されたメキシコ移民の子供たちの権利を取り戻すと約束した。
また、オバマ政権時代の政策でアメリカ滞在を許可された子供たちを保護し、連邦学生援助の資格を保障すると誓約した。
授業料無料の大学を拡大
バイデン氏は党内で人気を集めているいくつかの大きな教育政策を承認、左派に配慮した。
バイデン氏は学生ローンの債務免除、授業料無料の大学の拡大などを実行すると述べた。
これらには、トランプ時代の減税撤回で得られる税収を割り当てればよい。ロビー活動に熱心な大企業や資産家は戦々恐々としているだろう。