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ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。
2024年2月25日/ハイチ、首都ポルトープランスの通り(AP通信)

中米ハイチが22日、米州機構(OAS)の会合で近隣諸国に緊急の安全保障支援を求めた。

ハイチのOAS担当は会合の中で米国を含む近隣諸国に軍事・安全保障支援を要請。一方、米国は武装ギャングの抑制を目的とする現在の資金援助を打ち切ると示唆した。

ファインスタイン(Barbara Feinstein)米カリブ担当副次官は声明で、「ハイチ国民が平和、安全、繁栄を達成できるよう支援する決意は変わらないが、米国だけこのような大きな財政負担を負い続けることはできない」と述べた。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは3年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。大統領のポストは今も空席のままだ。

ポルトープランスの90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。アルティボニット県ではグラン・グリフとみられる武装ギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。

最新のギャング間抗争は3月初めに勃発。ポルトープランスの大部分を支配するギャング連合「ヴィヴ・アンサム(Viv Ansam)」と対立する複数のギャングが民間人を巻き込みながら激しい縄張り争いを繰り広げている。

一連の暴力とギャング間抗争により100万人以上が住居を失い、その多くが避難所に身を寄せている。

米国は多くの対外援助を削減し、ハイチ国連支援ミッション向けに約束した資金の一部を凍結している。

ルビオ(Maro Rubio)米国務長官は今週初め、ハイチの安全保障を支援するためにOASがより大きな役割を果たすべきだと指摘した。

アフリカ東部・ケニアの国家警察が率いる国連支援ミッションはハイチ警察と連携してギャング撃退に取り組んでいるものの、資金と兵力不足に悩まされている。

国連はこのミッションに2500人を動員するとしているが、資金不足で1000人ほどの要員しか集まっていない。

バイデン前政権は支援ミッションを平和維持任務(PKK)に格上げするよう求めていたが、中国とロシアが難色を示していた。

米国務省は今月初め、ヴィヴ・アンサムとグラン・グリフを「外国テロ組織」および「国際テロリスト」に指定した。

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