▽M23は先月末に東部・北キブ州の州都ゴマを制圧。南キブ州の州都ブカブに進軍中とみられる。
![](https://kagonma-info.com/wp-content/uploads/2025/02/2025年1月31日/コンゴ民主共和国、反政府勢力M23(3月23日運動)が参加する「コンゴ川同盟」の指導者コルネイユ・ナンガア氏(ロイター通信).jpg)
コンゴ民主共和国の軍事法廷が同国最大の反政府勢力M23(3月23日運動)が参加する「コンゴ川同盟」の指導者コルネイユ・ナンガア(Corneille Nangaa)氏の逮捕状を発行した。国営メディアが6日に報じた。
ナンガア氏はM23の最高司令官である。
国営メディアによると、首都キンシャサの軍事法廷は4日、戦争犯罪と国家反逆罪を犯したとしてナンガア氏の逮捕状を発行。治安当局に逮捕を命じたという。
また軍事法廷はナンガア氏がどこにいようとも逮捕し、コンゴ領内に連行するよう命じた。
M23は先月末に東部・北キブ州の州都ゴマを制圧。南キブ州の州都ブカブに進軍中とみられる。
M23は3日、一方的に停戦を宣言した。しかし、中央政府はこれを「偽情報」とし、ゴマ周辺で激しい戦闘が続いていると明らかにした。
M23がゴマを制圧して以来、1000人近くの遺体が市内の病院や安置所に運び込まれている。
欧米諸国は隣国ルワンダによるM23への軍事支援を非難。一部の国は援助停止を決めている。
ルワンダ軍はM23を積極的に支援し、ゴマ市内で堂々と活動中。ゴマ郊外でコンゴ軍と交戦中とみられる。
ルワンダ大統領府は先月末、「コンゴとの全面戦争に応じる用意がある」と表明した。
国連人道問題調整事務所(OCHA)は5日、この暴力によりゴマ市内だけで少なくとも2800人が死亡したと推定した。
被害の状況は明らかになっておらず、M23の支配下に置かれた町や集落への立ち入りは禁じられている。
M23はルワンダとウガンダの支援を受けていたコンゴのツチ族武装集団の元戦闘員で構成され、2009年3月に締結された和平協定により、コンゴ軍に編入された。
しかし、M23の戦闘員はコンゴ軍に編入された後もルワンダ国境付近で活動を続け、13年の紛争に敗れるとルワンダやウガンダに逃亡。21年11月頃から活動を活発化させ、北キブ州の複数の集落を占領した。
コンゴ、米国、国連安保理はルワンダ政府がM23を支援していると指摘。ルワンダはこの主張を否定している。
1994年のルワンダ大虐殺に関与したとされるフツ族の住民数千人がコンゴ東部に逃げ込んで以来、両国の関係は緊張状態にある。
M23はコンゴに逃げ込んだフツ族の掃討を目指しているものとみられる。ルワンダはコンゴ政府が組織的に大虐殺の加害者であるフツ族を匿っていると主張している。
ルワンダ大虐殺の犠牲者は80万~100万人と推定されている。フツ族の過激派はツチ族だけでなく、フツ族の穏健派も殺害した。
国連はコンゴ国内で活動するルワンダ兵を最大4000人と推定している。
政府とM23による戦争は世界最大級の人道危機に発展。700万人以上が避難を余儀なくされている。
ゴマには国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)の本部と南部アフリカ地域圏の基地があり、郊外の避難民キャンプでは少なくとも200万人がテント生活を送っている。
過去2週間の戦闘で避難を余儀なくされた市民は数万人と推定されている。多くの市民がルワンダに逃げ込んだ。
スイス・チャーチ・エイド(HEKS/EPER)は6日、3人の現地職員が先週M23と国軍の戦闘に巻き込まれて死亡したと明らかにした。
M23は南キブ州ブカブから100キロほどの地点に位置する町も制圧。ブカブに進軍中とみられるが、戦況はほとんど明らかになっていない。
政府はこの町が陥落したことを確認していないが、国連を含む複数の人権団体がM23の侵入を確認したと報告している。