▽ゴマは先月末、同国最大の反政府勢力M23(3月23日運動)の支配下に置かれた。
アフリカ中央部・コンゴ民主共和国の北キブ州ゴマで食料品の価格が高騰している。現地メディアが4日に報じた。
ゴマは先月末、同国最大の反政府勢力M23(3月23日運動)の支配下に置かれた。
イギリスの国際NGOアクションエイドによると、1月25日から31日にかけて、小麦粉、豆、油など、主要な食料品の価格が18~160%上昇したという。
また食料品の供給量もこの2週間で激減し、パンや米など、基本的な物資が入手困難になっている。
M23が州都ゴマを制圧した1月30日以来、約900人の遺体が市内の病院や安置所に運び込まれたと報告されている。
M23は3日の声明で、「2月4日から停戦する」と一方的に宣言。中央政府はコメントを出しておらず、現地メディアによると、ゴマ郊外の複数の地域で散発的な戦闘が続いているという。
欧米諸国は隣国ルワンダによるM23への軍事支援を非難。一部の国は援助停止を決めている。
ルワンダ軍はM23を積極的に支援し、ゴマ市内で堂々と活動している。
ルワンダ大統領府も先月末、「コンゴとの全面戦争に応じる用意がある」と表明した。
M23はルワンダとウガンダの支援を受けていたコンゴのツチ族武装集団の元戦闘員で構成され、2009年3月に締結された和平協定により、コンゴ軍に編入された。
しかし、M23の戦闘員はコンゴ軍に編入された後もルワンダ国境付近で活動を続け、13年の紛争に敗れるとルワンダやウガンダに逃亡。21年11月頃から活動を活発化させ、北キブ州の複数の集落を占領した。
コンゴ、米国、国連安保理はルワンダ政府がM23を支援していると指摘。ルワンダはこの主張を否定している。
1994年のルワンダ大虐殺に関与したとされるフツ族の住民数千人がコンゴ東部に逃げ込んで以来、両国の関係は緊張状態にある。
M23はコンゴに逃げ込んだフツ族の掃討を目指しているものとみられる。ルワンダはコンゴ政府が組織的に大虐殺の加害者であるフツ族を匿っていると主張している。
ルワンダ大虐殺の犠牲者は80万~100万人と推定されている。フツ族の過激派はツチ族だけでなく、フツ族の穏健派も殺害した。
国連はコンゴ国内で活動するルワンダ兵を最大4000人と推定している。
政府とM23による戦争は世界最大級の人道危機に発展。700万人以上が避難を余儀なくされている。
ゴマには国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)の本部と南部アフリカ地域圏の基地があり、郊外の避難民キャンプでは少なくとも200万人がテント生活を送っている。
ゴマがM23の支配下に置かれた結果、電気、水道、インターネットサービスが遮断され、多くの企業が閉鎖を決めた。
それから1週間以上が経ち、電力はほぼ回復。食料品も手に入るようになったが、その価格は占領前の2倍、一部の市場では3倍になったという情報もある。
アクションエイドによると、ゴマで流通する食料の90%以上が周辺地域から供給されるもので、戦闘で多くの道路が封鎖された結果、 輸送が滞り、不足と価格高騰につながっているという。