◎マドゥロ大統領は7月末の大統領選後、OHCHRの職員がクーデター計画やテロ攻撃に関与したと主張し、数人を国外追放した。
ベネズエラの国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が数カ月ぶりに業務を再開した。OHCHRのターク(Volker Turk)高等弁務官が13日、明らかにした。
マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領は7月末の大統領選後、OHCHRの職員がクーデター計画やテロ攻撃に関与したと主張し、数人を国外追放した。
ターク氏はジュネーブの人権理事会で演説し、ベネズエラの人権状況が劇的に悪化していると非難した。
ターク氏は「選挙後の抗議デモにおいて、政府を支持する武装勢力を含め、不釣り合いな武力と暴力が行使されたことに深い懸念を抱いている」と述べた。
マドゥロ氏の支配下に置かれる選挙管理委員会は7月28日に行われた大統領選の集計結果を公表せず、マドゥロ氏が得票率51%で勝利したと宣言した。
しかし、野党陣営は全国の電子投票機が印刷した集計表の80%以上を確保・精査した結果、全野党の統一候補であるゴンザレス(Edmundo González)氏の得票数はマドゥロ氏に2倍以上の差をつけていたことが明らかになった。
米国を含む数十カ国が選挙の勝者をゴンザレス氏と認定。選管に透明性のある集計結果を公表するよう呼びかけてきた。
しかし、最高裁判所は8月末、マドゥロ氏の勝利を認定。さらにカラカスの地方裁判所は9月、ゴンザレス氏が選挙結果を捏造し、暴動を煽ったなどとして逮捕状を発行した。
この結果、ゴンザレス氏はスペインへの亡命を余儀なくされた。
ターク氏は「選挙後、抗議デモに参加した一般市民など、約2000人が当局に拘束された」と明らかにした。
またターク氏は「青少年や若者、野党関係者、人権活動家、ジャーナリスト、弁護士など、2000人もの市民が恣意的に拘束されていることを非常に懸念している」と述べた。
さらに、治安部隊の取り締まりにより20人以上が殺害されたことにも言及。ベネズエラ政府に公正な調査を行うよう求めた。