◎結核は結核菌によって主に肺に炎症が起こる病気。重症の結核患者の咳などで結核菌が飛び散り、周りの人がそれを直接吸い込むことで感染する。
人工呼吸器をつける結核患者(Getty Images)

世界保健機関(WHO)は29日、昨年800万人以上が結核と診断されたと発表した。

それによると、昨年結核により亡くなった人は世界で約125万人、コロナウイルスの年間死者数を上回ったという。

結核は結核菌によって主に肺に炎症が起こる病気。重症の結核患者の咳などで結核菌が飛び散り、周りの人がそれを直接吸い込むことで感染する。

WHOによると、結核は東南アジア、アフリカ、西太平洋地域で今も猛威を振るい、インド、インドネシア、中国、フィリピン、パキスタンが世界の患者数の半分以上を占めているという。

WHOのテドロス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は声明で、「結核を予防し、発見し、治療する手段があるにもかかわらず、いまだにこれほど多くの人々が命を落とし、病気になっていることに衝撃を受けている」と述べた。

結核による死者数は世界的に減少を続けており、新規感染者の数も安定し始めている。昨年、薬剤耐性結核と推定された40万人のうち、診断・治療を受けたのは半数以下であった。

WHOによると、世界人口のおよそ4分の1が結核に罹患していると推定され、症状を発症するのはそのうちの5〜10%程度。

緊急医療援助団体「国境なき医師団(MSF)」などの人道支援団体は以前から、貧しい国々で使用されている結核検査キットを製造している米セフィエド社に対し、入手可能性を高めるため、1回あたり5ドルで検査を受けられるようにするよう求めてきた。

MSFと150のグローバル・ヘルス・パートナーは今月初め、セフィエド社に公開書簡を送り、「人々の命を最優先」し、結核検査キットを世界中に流通・普及させるよう改めて要請した。

アフィリエイト広告
スポンサーリンク