◎米国とカナダの国境線は8000キロ超。南部国境の2倍以上の長さである。
米北西部ワシントン州のカナダ国境検問所近く(Getty Images)

大統領選が終盤戦に差し掛かる中、移民問題に注目が集まっている。

多くの有権者が南部のメキシコ国境に押し寄せる移民に懸念を示す一方、北部のカナダ国境でも拘束される移民が増えている。

米国とカナダの国境線は8000キロ超。南部国境の2倍以上の長さである。

米税関・国境警備局(CBP)によると、今年1~10月初めの間に北部国境で捜査官が移民に遭遇した回数は約20万回。21年会計年度の7倍以上となっている。

米当局が昨年南部国境で拘束した移民は約250万人。その7割がベネズエラ人であった。

CBPの北部事務所によると、米国とカナダに拠点を置く人身売買組織はSNSなどを駆使して移民を集め、1人あたり数千ドルを徴収。トラックや乗用車などを使って移民を米国に送り込もうとしている。

国土安全捜査局(HSI)のハマー(Robert Hammer)特別捜査官はABCニュースの取材に対し、「HSIやCBPなどは北部国境で巧妙化する人身売買組織の摘発を進めている」と語った。

それによると、一部の犯罪組織は配車サービス大手ウーバーのアプリを使って移民を米国に送っていたという。

あるケースではウーバーで国境フェンスのない地域まで移民を移送していた。米側に入った移民の多くが自ら警察に通報し、保護を求める。

HSIは国境警備隊、州警察、カナダの捜査機関などと連携し、国境を越えさせないようにしている。

ハマー氏によると、ある犯罪組織はウーバーを使って600回以上移民を米側に送り込み、8万ドル以上を売り上げたアカウントを17個保有していたという。

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