◎コンゴ東部では国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)とつながりのある過激派など、120以上の武装勢力が活動しており、30年以上前から紛争に悩まされている。
国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」は9月30日、アフリカ中央部・コンゴ民主共和国で昨年、2万5000人以上の性暴力被害者を治療したと明らかにした。
それによると、被害者はほぼ全員女性で、その大半が東部の紛争地である北キブ州で被害に遭い、治療やメンタルヘルスケアを受けているという。
MSFのコンゴ担当は報告書の中で、「被害者の3分の2は銃を突き付けられた状態でレイプされた」と指摘。「北キブ州では1時間に2人の女性が性的暴行を受けている」と述べた。
コンゴ東部では国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)とつながりのある過激派など、120以上の武装勢力が活動しており、30年以上前から紛争に悩まされている。
複数の武装勢力がジェノサイド(集団殺害)や人道に対する罪で告発されている。この紛争により、北キブ州だけで約600万人が避難を余儀なくされている。
コンゴ最大の反政府勢力M23(3月23日運動)と国軍の戦闘も危機に拍車をかけている。
M23はルワンダとウガンダの支援を受けていたコンゴのツチ族武装集団の元戦闘員で構成され、2009年3月に締結された和平協定により、コンゴ軍に編入された。
しかし、M23の戦闘員はコンゴ軍に編入された後もルワンダ国境付近で活動を続け、13年の紛争に敗れるとルワンダやウガンダに逃亡。21年11月頃から活動を活発化させ、北キブ州の複数の集落を占領した。
コンゴ、米国、国連安保理はルワンダ政府がM23を支援していると指摘。ルワンダはこの主張を否定している。
1994年のルワンダ大虐殺に関与したとされるフツ族の住民数千人がコンゴ東部に逃げ込んで以来、両国の関係は緊張状態にある。
M23はコンゴに逃げ込んだフツ族の掃討を目指しているものとみられる。
ルワンダ政府はM23との共闘を否定しているが、今年2月、自国の安全を守るため、コンゴ東部国境付近に部隊とミサイルシステムを配備したと認めた。
MSFは報告書の中で、「避難民の居住地やその周辺に武装した男たちが大量に存在することは、性暴力の爆発的な増加につながり、人道的対応の不十分さや、避難民の居住地における非人道的な生活環境が、この現象に拍車をかけている」と述べ、即時の停戦と国際社会による支援の拡充を求めた。
MSFは今年、北キブ州だけで1~5月までの間に17000人以上の性暴力被害者に支援を提供したとしている。