◎昨年就任したミレイ氏は過去の左派政権が残した借金を打ち負かすと誓い、緊縮財政を推進した。
南米アルゼンチンの貧困率がミレイ(Javier Milei)大統領のショック療法により、この半年で約42%から53%に急上昇した。統計局が26日、明らかにした。
昨年就任したミレイ氏は過去の左派政権が残した借金を打ち負かすと誓い、緊縮財政を推進。手厚い補助金を軒並み削減、物価統制を廃止し、自国通貨アルゼンチン・ペソの切り下げを含む抜本的な経済改革に着手した。
その結果、月次インフレ率は1桁まで低下。16年ぶりに四半期ベースで財政黒字を達成するなど、多くの経済的成功を収めてきた。
しかし、補助金に慣れた低所得者層はミレイ氏の激しいショック療法に耐え切れず、生活環境が悪化。貧困率の激増につながった。
国際通貨基金(IMF)と世界銀行はミレイ氏の政策を支持している。
ミレイ氏のショック療法にもかかわらず、アルゼンチンの年間インフレ率はいまだに200%を超え、世界最悪の水準にある。
ミレイ氏は統計局がデータを公表する数時間前、長い記者会見で政権への打撃をそらそうとした。「我々は左派から悲惨な財政を引き継いだ。左派たちは後先考えず、何十年にもわたって奔放な支出を続け、慢性的なインフレを引き起こした。彼らは市民を置き去りにして、どこかに去った...」
巨額の財政赤字と引き換えに個人消費を高水準に維持してきた左派政権とは異なり、ミレイ氏は就任以来、敬愛するトランプ(Donald Trump)前米大統領の教えに基づき、物価統制を打ち負かし、ガソリンを含むエネルギー補助金を削減、ペソを54%切り下げた。