◎選挙当局者は書類を持って突然現れ、「サインするか、厳しい現実に直面するか、選べ」と警告した。
ベネズエラ、大統領選に出馬したゴンザレス氏(左)とマチャド元議員(AP通信)

スペインへの亡命を余儀なくされたベネズエラの大統領候補ゴンザレス(Edmundo González)氏が18日、選挙当局に7月の大統領選で敗れたことを認める書簡への署名を強制されたと明らかにした。

現地メディアによると、この書簡は極秘扱いとみられるが、ベネズエラ国会議長の首席補佐官が一部の地元メディアに公開した。

首席補佐官はテレビ演説で、「ゴンザレス氏は書簡に署名している」と語った。

また補佐官は記者団に対し、「ゴンザレス氏は自分の意思でこれに署名した」と主張した。

しかし、ゴンザレス氏はSNSに投稿したビデオ声明でこれを否定。「強要され、サインせざるを得なかった」と述べた。

それによると、選挙当局者は書類を持って突然現れ、「サインするか、厳しい現実に直面するか、選べ」と警告したという。

ゴンザレス氏は「当局者は書簡に署名しなければ出国を許可せず、その先はどうなるか分からないと数時間にわたって私を脅した」と述べた。

議長の補佐官はゴンサレス氏の動画について質問を受けると、「ゴンサレス氏が主張を撤回しなければ、ゴンサレス氏との会話の音声を公開する」と脅した。

ゴンザレス氏は先週末、当局に逮捕される恐れがあるとして、スペインへの亡命を余儀なくされた。

独裁者のマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領の支配下に置かれる選挙管理委員会は7月28日に行われた大統領選の集計結果を公表せず、現職のマドゥロ氏が得票率51%で勝利したと発表。

しかし、野党陣営は全国の電子投票機が印刷した集計表の80%以上を確保したと報告。それによると、ゴンザレス氏の得票数はマドゥロ氏に2倍以上の差をつけていたという。

米国を含む数カ国が選挙の勝者をゴンザレス氏と認定。選管に透明性のある集計結果を公表するよう呼びかけてきた。

しかし、最高裁判所は先月末、マドゥロ氏の勝利を認定。さらに首都カラカスの地方裁判所はゴンザレス氏が選挙結果を捏造し、暴動を煽ったなどとして逮捕状を発行した。

ベネズエラの経済は米政府によるマドゥロ政権への厳しい経済制裁とマドゥロ氏の後先考えないバラマキ政策で急速に悪化。GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりとなり、2021年には10年前の2割以下に落ち込んだ。

現在のGDPはピーク時の4分の1となり、その結果、800万人近くが国外に流出。その多くが他の中南米諸国を経由して米国への移住を目指している。

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