◎ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。
ハイチ南部ニップで石油タンクローリーが爆発した事故について、地元当局は15日、これまでに24人の死亡を確認し、数十人が重傷を負い、病院で治療を受けていると明らかにした。
コニーユ(Garry Conille)首相によると、少なくとも10数人が重傷を負い、全身の80%に火傷を負った人もいるという。
事故はニップ市内の道路で14日に発生。燃料が漏れた石油タンクローリーに市民が群がり、ガソリンを集めている最中に爆発したと伝えられている。
ニップは首都ポルトープランスの西方約100キロに位置する。
地元メディアによると、タンクローリーは他の車両と衝突し、燃料が漏れたという。
コニーユ氏はポルトープランスの空港で記者団の取材に応じ、「被災者に必要な医療を届けられるよう、全力を尽くす」と語った。
当局は14日時点で15人が死亡、40人負傷したと報告していた。
ハイチでタンクローリーの爆発事故が発生したのは3年ぶり。
2021年、北部の都市カパイシアンでバイクを避けようとしたタンクローリーが横転・爆発し、数十人が死亡した。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは1年半ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ポルトープランスの80%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
国連によると、今年1~5月までに全土で殺害された市民は3200人以上。この1年半で50万人以上が住居を失ったと推定されている。
政府は今月初め、非常事態宣言の対象地域を全国に拡大した。