◎ハイチの治安は2021年7月のモイーズ大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ギャングの支配下に置かれる中米ハイチの暫定評議会が11日、コニール新政権の閣僚人事を承認した。
首相府の報道官はAP通信の取材に対し、「暫定評議会は女性4人を含む閣僚人事を全会一致で承認した」と語った。
それによると、コニール(Garry Conille)新首相の弁護士であるヘラクレス(Carlos Hercules)氏が法務相。コニール氏は内相も兼任する。
国防相を含む女性4人が閣僚入りした。
殺害予告を受け暫定評議会の委員を辞任したデュピュイ(Dominique Dupuy)氏はユネスコ大使を務める。
暫定評議会で議決権を持つ7人のうち1人が女性である。地元メディアによると、女性4人が同時に大臣を務めるのは数十年ぶり。それでも、多くの専門家がハイチの女性議員の少なさを批判している。
首都ポルトープランスに拠点を置く人権団体は声明で、「この人事は危機的状況にある同国の女性と少女を侮辱するものであり、到底容認できない」と批判した。
コニール氏は首相に就任する前から、女性の政治参画を促すと何度も発言していた。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは1年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ポルトープランスの80~90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
暫定評議会は今月1日、コニール氏に首相に選出した。
コニール政権は前途多難な厳しい任務に臨むことになる。
国連によると、ポルトープランスで住居を失った市民は36万人を超え、その多くが南部の比較的安全な地域や国外に逃亡したという。
国連安保理は昨年、ハイチにPKO部隊を派遣することを全会一致で承認したが、部隊を率いるケニアで複数の問題が発生し、いまだ派遣できずにいる。