◎ハイチの治安は2021年7月のモイーズ大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ギャングの支配下に置かれる中米ハイチのコニール(Garry Conille)新首相が9日、首都ポルトープランスの病院を退院した。
コニール氏はユーチューブ動画で、「体調はよく、国民のために働く準備はできている」と語った。
またコニール氏はこう強調した。「病院に一泊した際、ずっと考えていたことがあります。多くの国民が治療を必要としていること。そして、多くの国民が治療を受けられずにいること...」
暫定評議会は今月1日、コニール氏に首相に選出した。
それから数日後、コニール氏は米フロリダ州からポルトープランスに帰国し、多くの国民が注目する中、宣誓した。
首相府はコニール氏が入院した理由を明らかにしていないが、一部の地元メディアは政府関係者の話しとして、「連日不眠不休で働いた結果、持病の喘息が悪化した」と伝えている。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは1年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ポルトープランスの80~90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
コニール氏は前途多難な厳しい任務に臨むことになる。
国連によると、ポルトープランスで住居を失った市民は36万人を超え、その多くが南部の比較的安全な地域や国外に逃亡したという。
ポルトープランスと周辺の都市を結ぶ幹線道路はギャングの支配下に置かれており、各地に検問所が設置され、国家警察とギャングによる銃撃戦が連日報告されている。
ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。
国連安保理は昨年、ハイチにPKO部隊を派遣することを全会一致で承認したが、部隊を率いるケニアで複数の問題が発生し、いまだ派遣できずにいる。