◎ハイチの治安は2021年7月のモイーズ大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ギャングの支配下に置かれる中米ハイチの首相にコニール(Garry Conille)元首相が就任した。
コニール氏は首都ポルトープランスの首相府で3日に行われた短い式典が演説。「与野党の力を結集し、国の治安を改善するために命がけで働く」と誓った。
暫定評議会は先週、コニール氏を首相に指名した。
コニール氏は58歳。2011年10月~12年5月まで首相を。23年1月からは国連児童基金(ユニセフ)のラテンアメリカ・カリブ地域担当理事を務めてきた。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは1年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ポルトープランスの80~90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
コニール氏は「与野党の意見の違いを脇に置き、力を合わせて問題に対処する必要がある」と呼びかけた。
またコニール氏は「国民と国家の利益を守るために、異なるグループ・派閥は連携し、史上最も厳しい戦いに勝利することができる」と断言した。
コニール氏は制度改革やギャング暴力への対処など、途方もない仕事に直面している。
暫定評議会の議長は「信頼できる、自由で民主的な選挙を行うことが重要だ」と述べた。
暫定評議会は2026年初頭までに大統領選を実施しなければならない。
ハイチ警察は国連安全保障理事会の命を受けたケニア主導のPKO部隊の到着を心待ちにしている。
地元メディアによると、コニール氏は1日に米フロリダ州マイアミから専用機でポルトープランスに移動したという。
ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。