◎ハイチの治安は2021年7月のモイーズ大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
中米ハイチの新首相に選ばれたコニール(Garry Conille)氏が29日、国民に団結を促す声明を出した。
コニール氏は国民、暫定評議会、市民団体などに謝意を示し、首相に選ばれたことを光栄に思うとX(旧ツイッター)に書き込んだ。
またコニール氏は国民に対し、「この国で暮らす子供たちのために、より良い未来を創るために、力を合わせて頑張りましょう」と呼びかけた。
コニール氏は28日、2023年1月から務めていたユニセフのラテンアメリカ・カリブ海地域事務局長の辞表を提出した。
コニール氏は2011年10月~12年5月まで首相を務めていた。
暫定評議会は先月末、ベリゼール(Fritz Belizaire)元スポーツ相を首相に選出。それは予想外の人事であり、多くの同盟国と国民を驚かせた。
暫定評議会の委員9人のうち2人がベリゼール氏のことを全く知らなかった。しかし、議決権をもつ7人のうち4人がベリゼール氏を首相に選んだ。
他の3人はベリゼール氏の選出に不満を表明。紆余曲折の末、暫定評議会はこの人事を撤回した。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
首都ポルトープランスでは1年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ポルトープランスの80~90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。