◎西アフリカのマリ、ブルキナファソ、ニジェールは10年以上にわたってサハラ砂漠以南のサヘル地域に拠点を置く国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)系組織と戦っている。
マリ、首都バマコ、ゴイタ大佐(中央)と兵士たち(AP通信)

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は8日、西アフリカ・マリの過激派が今年1月に2つの集落で住民を虐殺し、数千人が家を追われたと明らかにした。

それによると、国際テロ組織アルカイダとつながりのある「JNIM」と名のる組織は1月27日、中部にある2つの集落を襲撃し、3人の子供を含む少なくとも32人を殺害し、350戸以上の家屋に火を放ったという。

HRWは生存者の証言を引用し、「JNIMは敵対する部族の集落を襲っている」と報告した。

またHRWは1月6日に中部の2つの集落で発生したとされる襲撃事件にも言及。正体不明の武装集団は住民13人を殺害し、女性や子供少なくとも24人を拉致したとされる。

このレポートをまとめたHRWのサヘル上級研究員は「アルカイダを含む過激派や武装民兵は訴追を恐れることなく、残虐に市民を攻撃している。政府当局は暴力と復讐殺人の連鎖を終わらせ、市民をよりよく保護するために行動する必要がある」と訴えた。

それによると、1月27日の攻撃は対立する部族に攻撃を受けた部族による嘱託殺人とみられる。フラニ人などの一部の民族は過激派や民兵に狙われることが多い。

生存者はHRWに対し、「対立する部族がテロリストに報復を依頼している」と述べ、軍政に対し、サヘル地域の治安を改善するよう求めた。

西アフリカのマリ、ブルキナファソ、ニジェールは10年以上にわたってサハラ砂漠以南のサヘル地域に拠点を置くアルカイダやイスラム国(ISIS)系組織と戦っている。

マリの治安状況は2020年のクーデター以降、悪化の一途をたどっている。

暴力は隣国ブルキナとニジェールに波及。この数年で死亡した民間人は数千人と推定されている。

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