◎ケニアの雨季は通常、3~5月末頃まで続く。
東アフリカ・ケニアの広い範囲で大雨による洪水が発生し、全国47郡中25郡で被害が確認された。現地メディアが25日に報じた。
それによると、首都ナイロビでも道路が冠水するなどして、これまでに35人の死亡が確認され、4万人以上が住まいを失ったという。
国連人道問題調整事務所(OCHA)はケニア赤十字社のデータを引用し、「少なくとも25郡で被害が確認され、8000エーカー近くの農地が水没し、5000頭近くの家畜が死んだ」と報告した。
ケニアの雨季は通常、3~5月末頃まで続く。
世界各地で猛威を振るうエルニーニョ現象は東アフリカ地域に高温、洪水、干ばつをもたらした。ケニアの気象台によると、多くの地域で大雨が続く一方、いくつかの地域(主に砂漠地帯)では全く雨が降っていないという。
隣国のソマリアやエチオピアも似たような状況になっている。
ケニア赤十字社は今週、数週間前に雨季が始まって以来、洪水に見舞われた地域で少なくとも188人を救助したと明らかにした。
それによると、8000エーカー近くの田畑が水没し、5000頭近くの家畜が溺れたり、濁流に流されて死んだという。
OCHAはナイロビの被害が特に深刻と報告している。
それによると、ナイロビ近郊のスラム街で被害が拡大し、このエリアだけで3万1000人以上がホームレスになったという。
スラム街の排水設備はほとんど整備されておらず、10ミリ程度の雨で道路が冠水することもある。
ソーシャルメディアで共有された動画にはナイロビのスラム街に取り残された住民の姿が映っていた。その周囲は完全に水没したように見える。
ナイロビ選出の議員団は共同声明を発表。「自治体は市民を救うために24時間体制で働いているが、洪水の規模に圧倒されており、国を挙げて対応する必要がある」と訴えた。
内務省の報道官は24日午後、中央政府が救助・捜索活動を主導すると発表。自治体と連携した対応にあたり、必要な予算を速やかに計上すると述べた。
被害の全容は明らかになっておらず、政府が関係自治体と連携して調査している。
東アフリカ地域で大雨に見舞われている国はケニアだけではない。隣国タンザニアではこの数週間で少なくとも155人が死亡、20万人以上が避難を余儀なくされている。