◎ハイチのSNSユーザーは暫定評議会の発足を歓迎する一方、国連安保理にケニア率いるPKO部隊の派遣を急ぐよう求めている。
ハイチ、首都ポルトープランス(Getty Images/PAメディア)

ギャングの暴力に圧倒される中米ハイチで暫定評議会が正式に発足した。

暫定評議会の発足を宣言する政令は12日付けの官報に掲載された。

それによると、ジョセフ(Joel John Joseph)元首相が率いる政党を含む7党と民間の2団体の代表が委員に選出されたという。

9人のうち議決権を有するのは7党の代表のみである。

14カ国と1地域で構成されるカリブ共同体(CARICOM)はこの1カ月、アンリ(Ariel Henry)首相の後を継ぐ暫定評議会の発足準備を主導してきた。

アンリ氏はまもなく退任し、暫定首相が選出されるとみられる。

ハイチのSNSユーザーは暫定評議会の発足を歓迎する一方、国連安保理にケニア率いるPKO部隊の派遣を急ぐよう求めている。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

首都ポルトープランスでは1年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。

ポルトープランスの80%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、空港、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

アンリ氏は空港が閉鎖された影響で未だに帰国できずにいる。

暫定評議会は首相と閣僚を任命。新内閣と共に総選挙に向けた準備を進めると期待されている。

しかし、ポルトープランスを支配するギャングがこれを受け入れるかどうかは不明だ。

国連によると、今年1月~3月22日の間に殺害された市民は確認できているだけで1550人を超えたという。

ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。

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