◎ポルトープランスのスラム街にある同国最大の刑務所は2日にギャングの攻撃を受け、数千人の受刑者が脱獄。他の複数の刑務所にも火炎瓶が投げ込まれ、炎に包まれた。
戦争状態にある中米ハイチの首都ポルトープランスでギャング暴力が激増し、中央政府が4日、非常事態を宣言した。
それによると、非常事態宣言の期間は72時間。国家警察が秩序を回復し、状況をコントロールするための措置を取るとしている。
午後6時から午前5時までは外出禁止だ。
政府はプレスリリースの中で、「ポルトープランスにおける治安の悪化は武装ギャングによる凶悪化した犯罪行為によって特徴づけられており、大規模な人口移動を引き起こし、市民の誘拐・暗殺、女性や子供に対する暴力・レイプ、公共物や私有財産の略奪が多発している」と指摘した。
ポルトープランスのスラム街にある同国最大の刑務所は2日にギャングの攻撃を受け、数千人の受刑者が脱獄。他の複数の刑務所にも火炎瓶が投げ込まれ、炎に包まれた。
市内の複数の刑務所が攻撃を受け、受刑者約4000人のうち、刑務所にとどまっているのは100人に満たないとされるが、詳細は不明だ。
中央政府は3日の声明で、「刑務所に襲いかかったギャングテロリストは重武装しており、殺人、誘拐、その他重大犯罪で拘留された戦闘員を解放し、国家警察と対立組織に全面戦争を仕掛けようとしている」と述べた。
報道によると、刑務所周辺には受刑者とみられる数人の遺体が放置されていたという。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは1年ほど前からG9&Familyを含む複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
アンリ(Ariel Henry)首相はケニアが主導する国連PKOの派遣を急ぐよう繰り返し要請している。
同国最大の武装ギャング「G9&Family」は国際空港を含む複数の公共施設を2月29日に急襲。2つの警察署を支配下に置いたとされる。同組織を率いる元警察官の通称「バーベキュー(Jimmy "Barbecue" Cherizier)」が犯行声明を出した。