ハイチの治安は2021年7月のモイーズ大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
2021年7月8日/ハイチ、首都ポルトープランス、モイーズ大統領の暗殺に関与したとされる傭兵(Jean Marc Hervé Abélard/AP通信)

中米ハイチのモイーズ(Jovenel Moïse)大統領暗殺事件に関与したとされるシャルル(Léon Charles)氏が22日、米州機構のハイチ代表を辞任した。

捜査当局は今週、この暗殺事件に関連して、モイーズ(Martine Moïse)大統領夫人を含む50人近くが起訴されたという報告書を公表した。

捜査当局はジョゼフ(Claude Joseph)元首相も起訴されたとしている。

シャルル氏は殺人、殺人未遂、武器の不法所持、国家反逆罪などに問われている。

モイーズ夫人とジョゼフ氏は犯罪結社を創設した罪などに問われているが、これが暗殺を実行した傭兵部隊かどうかは不明である。

シャルル氏はX(旧ツイッター)に声明を投稿。捜査当局を「恥さらし集団」、起訴を「恥ずべきもの」と呼び、「無実を証明する準備に追われているため、職を辞した」と書き込んだ。

またシャルル氏は警察と検察を非難し、「名誉を回復するために必要なあらゆる法的措置を取る」と述べた。

シャルル氏はモイーズ氏が暗殺された2021年、国家警察の長官を務めていた。

ハイチの治安はモイーズ氏暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

首都ポルトープランスでは1年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げており、混乱が収束する目途は全く立っていない。

アンリ政権は総選挙を何回も延期。大統領は今の空席のままである。

捜査当局は報告書の中で、「夜明け前の襲撃のさなか、モイーズ大統領はシャルル被告に電話をかけたが、モイーズ大統領が別の政府高官に助けを求めるまでの18分間、シャルル被告は何の行動も起こさなかった」と指摘している。

また当局は「シャルル被告は大統領邸に到着できなかったと主張している」と書き、現場に急行しなかったと批判した。

さらに、事件の主犯格とされる1人が「シャルル被告は暗殺に先立ち、傭兵部隊の話し合いに何度も参加したと証言している」と指摘した。

この事件ではすでに40人以上が逮捕され、獄中で裁判を待っている。

暗殺計画の一部は米フロリダ州で企てられたとされ、米当局も捜査に参加。ハイチ系米国人ビンセント(Joseph Vincent)被告を含む4人に終身刑が言い渡されている。

モイーズ夫人の弁護士は今週、AP通信の取材に対し、「起訴に踏み切った証拠などが開示されていない」と指摘。「当局はアンリ政権に懐疑的な見方を示している政治家や個人を恣意的に逮捕した可能性がある」と主張していた。

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