◎ハイチのラム酒は同国で最も人気のある輸出品のひとつとされている。
中米ハイチ・首都ポルトープランスのラム酒産業がギャング間抗争に巻き込まれ、大打撃を受けている。現地メディアが12日に報じた。
それによると、ポルトープランス郊外にある有名な酒蔵の蒸留所付近でギャング間抗争が発生し、建屋とサトウキビ畑約8ヘクタールが全焼したという。
サトウキビ畑に逃げ込んだギャングたちは対立する組織の戦闘員に対し、ロケットランチャー、手榴弾、火炎瓶などで反撃したとされる。
ラム酒はサトウキビから作られる。今回の焼失面積はサッカー場4面ほど。被害を受けたメーカーはラム酒の生産を継続するとしている。
またメーカーは従業員の命を守るため、避難民への飲料水の無料配布、医療の提供、サッカー場やバスケットコートのレンタルを一時的に停止すると表明した。
ハイチのラム酒は同国で最も人気のある輸出品のひとつとされている。
国連人権理事会のターク(Volker Turk)高等弁務官は今週、ハイチ全土で先月殺害された市民が確認できているだけで800人を超え、数百人が誘拐されたり、行方不明になっていると報告した。ギャングの死傷者数は300人と推定されている。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは1年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。