◎首都ポルトープランスでは1年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ハイチの反政府指導者フィリップ(Guy Philippe)氏が首都プルトープランスに突如姿を現し、アンリ(Ariel Henry)首相に辞任を要求した。
ポルトープランスではギャングによる暴力とアンリ政権の退陣を求める抗議デモが2日連続で暴動に発展。スラム街では銃弾が飛び交い、火炎瓶による住宅火災が確認された。
フィリップ氏はマネーロンダリング(資金洗浄)などに関与した罪で逮捕・起訴され、米国で9年間服役。昨年末出所し、ハイチに帰国していた。
AP通信によると、フィリップ氏はギャングの支配下に置かれていないポルトープランス郊外の高級住宅街で目撃され、警察署の前でデモ隊と握手を交わし、立ち去ったという。
フィリップ氏の所在地は明らかになっていないものの、ポルトープランス市内にとどまっているものとみられる。
一方、デモ隊は市中心部の通りで数十台のバイクを燃やし、機動隊の取り締まりに抵抗した。
それから数時間後、フィリップ氏は地元ラジオ局の電話取材に応じ、アンリ氏に辞任を要求した。
またフィリップ氏は抗議デモがクーデターに発展する可能性もあると示唆。「戦いは始まったばかりだ。私は民衆と共に街頭に出る。陸軍と警察も私たちに続け」と語った。
さらにフィリップ氏はジョゼフ(Claude Joseph)元首相が率いる政党などと協議し、「ハイチが進むべき道を見つけようとしている」と強調した。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは1年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
国連安保理は昨年10月、ハイチにケニア主導のPKOを派遣することを全会一致で承認したものの、ケニアの高等裁判所は先月末、安保理の決定に基づきハイチに「警察官」を派遣することは違憲であると裁定した。