◎水や土地を巡るフラニ人と地元のベロム人による部族間抗争は数十年前から続いており、収束の目途は全く立っていない。
ナイジェリア中部プラトー州で正体不明の武装集団が市民少なくとも50人を虐殺した。地元当局が25日、明らかにした。
それによると、武装集団はプラトー州郊外の複数の集落を2日間にわたって襲撃し、住民を銃やナタで殺害したという。
プラトー州では宗教や民族間抗争が多発している。
集落を襲撃した武装集団はフラニ人の遊牧民とみられるが、詳細は不明。警察は声明を出していない。
水や土地を巡るフラニ人と地元のベロム人による部族間抗争は数十年前から続いており、収束の目途は全く立っていない。
プラトー州では昨年12月にも市民140人以上が虐殺されている。
AP通信はプラトー州当局者の話しとして、「武装集団は22日と23日に複数の集落を襲撃し、住民を射殺したり、ナタで切り殺し、家屋に火を放ち、女性と家畜を略奪した」と伝えている。
それによると、少なくとも50人の遺体が発見され、多くの行方不明者が出ている模様。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルのナイジェリア事務所は声明で、「これまでに30人の死亡を確認したという情報があり、犠牲者の数はこれをはるかに上回ると考えている」と明らかにした。
国民はこの虐殺事件に激怒し、プライベートでフランスを訪れているティヌブ(Bola Tinubu)大統領への圧力が高まった。
ティヌブ氏は昨年、イスラム過激派などによるテロを撲滅すると約束して大統領に選出されたが、状況が改善する見通しは全く立っていない。
ナイジェリア北中部では同国最大のイスラム過激派ボコ・ハラムを含む多くの武装勢力が活動している。フラニ人の元遊牧民はこれらの過激派と強調攻撃を仕掛けることがある。