◎コンゴ東部では国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)とつながりのある過激派など、120以上の武装勢力が活動している。
2022年6月15日/コンゴ民主共和国、北キブ州ゴマで行われた反ルワンダデモ(Getty Images/AFP通信)

国連は17日、コンゴ民主共和国とルワンダの対立が戦争に発展する可能性があるとして、深刻な懸念を表明した。

グテレス(Antonio Guterres)事務総長はコンゴ東部の情勢に関する最新の報告書で「直接対決」の危険性に言及。双方に自制を求め、国連安全保障理事会に対策を協議するよう呼びかけた。

国連は報告書の中で、「コンゴとルワンダは互いが武装グループを支援していると非難し続けており、直接対決に発展する可能性が高まっていると言わざるを得ない。コンゴ東部の安全保障や人道レベルの状況はこの6カ月、全く改善されておらず、むしろ悪化している」と指摘した。

コンゴ東部では国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)とつながりのある過激派など、120以上の武装勢力が活動している。

コンゴ政府と東部・北キブ州に拠点を置く同国最大の反政府勢力「3月23日運動(M23)」は戦争状態にある。

M23はルワンダとウガンダの支援を受けていたコンゴのツチ族武装集団の元戦闘員で構成され、2009年3月に締結された和平協定により、コンゴ軍に編入された。

しかし、M23の戦闘員はコンゴ軍に編入された後もルワンダ国境付近で活動を続け、2013年の紛争に敗れるとルワンダやウガンダに逃亡。2021年11月頃から活動を活発化させ、北キブ州の複数の集落を占領した。

コンゴ政府、米国、国連の専門家はルワンダ政府がM23を支援していると指摘。ルワンダはこの主張を否定している。

1994年のルワンダ大虐殺に関与したとされるフツ族の住民数千人がコンゴ東部に逃げ込んで以来、両国の関係は緊張状態にある。

M23はコンゴに逃げ込んだフツ族の掃討を目指しているとみられ、北キブ州の州都ゴマ近郊まで支配地域を拡大したとされる。

地元メディアによると、M23と戦うと主張する複数の民兵組織(ギャングとみられる)が東部地域で活発に活動し、市民生活に深刻な影響を与えているという。

これらの組織はソーシャルメディアで様々な偽情報を流している。「ルワンダ軍の兵士が北キブ州の女性をレイプし殺害した」「ルワンダはロシアと共謀してコンゴ併合を企てている...」

国連はコンゴとルワンダの対立について、「ハイレベルな直接対話が圧倒的に不足し、両国間でヘイトスピーチが蔓延している」と警告した。

安保理理事国も自制、対話、政治的解決を呼びかけている。

コンゴとルワンダの国連大使も互いを非難し合ったうえで、「平和的解決策」を見出したいと表明した。

国連は1999年以来、コンゴ東部に約1万2000人のPKO兵で構成される国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)を駐留させているが、治安が改善する見通しは全く立っていない。

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