◎この難民キャンプと周辺地域は無法地帯と呼ばれ、暴力事件が多発している。
2023年7月30日/レバノン、南部シドンのパレスチナ難民キャンプ(Mohammad Zaatari/AP通信)

レバノン南部の港湾都市シドンにあるパレスチナ難民キャンプで戦闘が発生し、少なくとも5人が死亡、7人が負傷した。現地メディアが30日に報じた。

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は死者数を6人と報告。レバノンの国営テレビは当局者の話として、5人が死亡、7人が負傷したと伝えている。

AP通信は警察筋の話しを引用し、「正体不明の武装テロリストが前与党ファタハの関係者を殺害しようとし、銃撃戦に発展した」と報じた。

別の当局者はイスラム過激派がファタハの将校と護衛3人を射殺したと述べているが、現場の状況は明らかになっておらず、犯行声明も出ていないようだ。

この難民キャンプと周辺地域は無法地帯と呼ばれ、暴力事件が多発している。

UNRWAによると、パレスチナ人約5万5000人がこのキャンプで生活している。

国営テレビは現地で撮られたものとされる映像を公開。男たちがアサルトライフルやロケットランチャーを撃ち、手榴弾を投げている者も確認できた。

国営テレビはキャンプ周辺で散発的な銃撃が確認されているものの、戦闘は概ね収束したと報じている。しかし、APは30日の正午過ぎ(現地時間)から戦闘が再燃したと伝えている。

レバノン軍は声明で、「テロリストの迫撃砲がキャンプ外の軍兵舎を直撃し、兵士1人が負傷した」と発表。キャンプ周辺に部隊を配備したと明らかにした。

UNRWAは約2000人の生徒が通う2つの学校が戦闘で被害を受けたと発表。この地域での活動を一時停止した。

前与党ファタハは声明で、「この攻撃はパレスチナ人の安全と安定を脅かす血なまぐさい計画の一部であり、関与した者の責任を追及する」と誓った。

パレスチナのアッバス(Mahmoud Abbas)議長も非難声明を出し、難民への暴力を糾弾した。

レバノンのミカティ(Najib Mikati)首相も暴力を非難し、パレスチナ指導部に対し、キャンプの治安改善に必要な支援を提供するよう呼びかけた。

このキャンプを統括するファタハは1948年の創設以来、過激派を取り締まってきた。2017年にはファタハを支持する派閥とイスラム国(ISISと)の間で戦闘が勃発。約1週間にわたる紛争で数十人が死亡したとされる。

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