◎首都ストックホルムで先月行われた反イスラム主義者によるコーラン焼却やそれを踏みつけたりするデモはイスラム国家の怒りを煽り、スウェーデンのNATO加盟手続きに重くのしかかっている。
イスラム教徒の権益を守ることを目的に掲げる国際機構「イスラム協力機構(OIC)」が23日、スウェーデン特使の資格を停止した。
OICはスウェーデンの首都ストックホルムで行われたコーラン焼却デモを非難。「スウェーデン当局がイスラム教や聖典の冒とくを容認したため、特使の資格を一時的に停止した」と述べた。
首都ストックホルムで先月行われた反イスラム主義者によるコーラン焼却やそれを踏みつけたりするデモはイスラム国家の怒りを煽り、スウェーデンのNATO加盟手続きに重くのしかかっている。
スウェーデン在住のイラク人男性は今週、ストックホルムの在イラク大使館前でコーランを燃やすデモを計画していると発表した。
これに激怒したバグダッドのデモ隊は在スウェーデン大使館を襲撃。イラク政府はスウェーデンとの国交を断絶すると発表した。
スウェーデンのイラク人男性(自称無神論者)はコーランを蹴ったり踏んだりしたが、燃やすまでには至らなかった。
OICの執行委員会は今月2日に緊急会合を開き、この問題について協議していた。
OICによると、同委員会は事務総長に対し、コーランを含むイスラム教の象徴や写しを冒とくした全ての国の特使の権限を剥奪するよう求めた。
OICはこの決定をスウェーデン外務省に書簡で通知したとしている。
デンマークで21日に行われたコーラン焼却デモもイラクで怒りを引き起こし、米国などの大使館があるバグダッドのグリーンゾーンで暴動に発展した。
デモ隊はグリーンゾーン内にある在デンマーク大使館を攻撃するためにゲートに突撃。警察と衝突した。
イラク南部第2の都市バスラではデンマーク難民評議会(Danish Refugee Council)の事務所が放火被害に遭った。
デンマーク外務省は23日、コーラン焼却デモを強く非難し、イスラム国家との連帯を表明した。「聖典やその他の宗教シンボルを燃やすことは、他者の宗教を軽んじる恥ずべき行為。多くの人々を傷つけ、異なる宗教や文化の間に分裂を生み出す挑発的な行為である...」
また同省は「表現と集会の自由は尊重されるべきである」と強調し、コーランを燃やすか否かにかかわらず、「非武装の平和的な抗議デモを取り締まることはできない」とした。