◎政府は現在進行中のビーチの喪失を相殺し、その影響を最小限に抑えるために1億500万ドルの予算を確保するとしている。
米領プエルトリコのピエルルイシ(Pedro Pierluisi)知事は11日、地球温暖化による海岸の浸食が加速しているとして、非常事態を宣言した。
政府は現在進行中のビーチの喪失を相殺し、その影響を最小限に抑えるために1億500万ドルの予算を確保するとしている。
予算は住宅の移転、人工リーフの設置、マングローブの植樹、ビーチ整備などに使われる予定だ。
ピエルルイシ氏は記者会見の中で、「地球温暖化による海面の上昇に対処する必要があり、野心的な取り組みを進めたい」と語った。
プエルトリコの海岸線の全長は約1200km。島の住民320万人のおよそ3分の2が沿岸部に住んでいる。
政府の統計によると、沿岸部の住民の5分の1が浸水地域に住んでいるという。
プエルトリコ大学は今年、海岸線約100kmの範囲でビーチの後退が進んでいるとするレポートを公表した。それによると、2017年9月に上陸したハリケーン・マリアをはじめとする嵐の影響で浸食が加速したという。
専門家は温暖化の影響でハリケーンの発生頻度と威力が高まり、浸食がさらに加速すると予想している。
政府系機関の調査によると、2018年7月までの間に、プエルトリコのビーチの40%で浸食が確認されたという。
非常事態宣言の対象地域は沿岸部の自治体。観光客に人気のある地域などに予算が投入される予定だ。
また各自治体は海岸浸食に対処する方針・対策を策定するよう命じられた。
州政府は作業部会の設置、放置された海岸構造物の取り壊し、海洋・陸域の公有財産の区分けなどを実施する。