◎国際社会はスーダンの民政復帰とダルフール紛争終結に向けた働きかけを強めているが、問題が解決する目途は立っていない。
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スーダンの人権団体は11日、西部ダルフール地方で新たな部族間抗争が発生し、この3日間で少なくとも14人が死亡したと報告した。
AP通信は活動家の話として、「西ダルフール州で9日にアラブ系のテロリストが商人を射殺し、衝突に発展した」と報じている。
それによると、この事件をきっかけに、アラブ系とアフリカ系部族が報復攻撃や略奪を繰り返し、難民キャンプも被害を受けたという。
戦闘は現在も続いているようだ。
西ダルフール州政府は10日、2週間の非常事態を宣言し、同州全域に夜間外出禁止令を導入した。
地元の活動家はこの地域で1カ月ほど前から暴力が急増していることについて、政治的混乱と緊張がもたらしたと指摘している。
3月下旬に西ダルフール州で発生した衝突では少なくとも5人が死亡。昨年10月には南東端の青ナイル州で170人以上の死者が出ている。
2019年に失脚した独裁者のオマル・バシル (Omar al-Bashir)はアラブ系部族を武装化し、ジャンジャウィードと呼ばれるアラブ系武装民兵をこの地域に送り込んだと告発されているが、バシルはこの告発を否定している。
国連はこの紛争で最大30万人が死亡、270万人が故郷を追われたと推定している。
一方、首都ハルツームでは2021年10月のクーデターで政権を奪取した軍指導部による民政復帰に向けた協議が紛糾し、混乱が広がっている。
軍指導部と民主派勢力は昨年末、西側の圧力を受け、暫定的な文民政府を発足させることで合意した。
この暫定合意は4月11日までに選挙を終え、暫定政府を樹立するとしていた。しかし、多くの野党勢力が協定に反対を表明しており、選挙を行えるような状態ではない。
国際社会はスーダンの民政復帰とダルフール紛争終結に向けた働きかけを強めているが、問題が解決する目途は立っていない。