◎アフリカ北部のチュニジアとリビアには多くの亡命希望者が押し寄せている。
2022年8月8日/チュニジア沖で保護された亡命希望者たち(Getty Images/AFP通信)

チュニジアの沿岸警備隊は9日、沖合で亡命希望者とみられる人々を乗せたボートが沈没し、少なくとも14人が死亡、54人を救助したと発表した。

沿岸警備隊の報道官はAP通信の取材に対し、「救助隊は9日未明に14人の遺体を収容し、54人を救助した」と語った。

報道官によると、ボートに乗っていたのはサハラ砂漠以南のサヘル地域から避難した人々とみられる。国籍は明らかにしていない。

さらに沿岸警備隊は9日未明、中部および南部の沖合で移民を乗せた船を14隻拿捕し、435人を拘束した。

アフリカ北部のチュニジアとリビアには多くの亡命希望者が押し寄せている。人々は頼りないゴムボートやボロボロの木造船に乗り、イタリアのシチリア島などを目指す。

国際移住機関(IOM)は地中海中部の亡命ルートを「世界で最も危険ルート」と呼んでいるが、サヘル地域の紛争や貧困から逃れた人々による事故は後を絶たない。

その多くはマリ、ブルキナファソ、エチオピア、ソマリアの市民だが、チュニジア人も多数含まれている。

チュニジアのサイード(Kais Saied)大統領は先月末、サヘル地域からチュニジアに入る不法移民が多くの犯罪に関与していると非難し、取り締まりを強化すると宣言。当局はこの数日でアフリカ系の移民数百人を逮捕し、サイード氏の支持者による人種差別事件も急増している。

EUの執行機関である欧州委員会のヨハンソン(Ylva Johansson)委員は9日、サイード氏の発言に深刻な懸念を表明する一方、欧州への不法移民の流入と人身売買を防ぐチュニジア当局の取り組みに一定の理解を示した。

ヨハンソン氏は記者団に対し、「チュニジアは人身売買を防止するだけでなく、欧州と共に移民の権利を守る同盟国である」と語った。

EUの統計によると、昨年北アフリカから欧州に渡った移民の国籍トップ3はエジプト、バングラデシュ、チュニジア。

欧州委員会は昨年、チュニジアに数億ユーロの援助を送った。

EU加盟国も2014~2020年にかけて、チュニジアに約16億ユーロを投資している。

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