◎現場では約7000人の建設労働者が整地、測量、道路建設などを行っている。
インドネシア政府は8日、カリマンタン島(ボルネオ島)の東カリマンタン州で進められている新首都「ヌサンタラ」の建設工事現場を公開した。
政府は首都移転プロジェクトの中心に「環境保護」を据え、2045年までにカーボンニュートラルを実現し、持続可能な森林都市を目指すとしている。
しかし、このプロジェクトは環境を悪化させ、オランウータンなどの絶滅危惧種の生息地や先住民族の土地を奪うと批判されている。
ジョコ(Joko Widodo)大統領は昨年、地震が多発し、人口増と開発による汚染が進むジャカルタからヌサンタラに首都を移すと発表。昨年半ばに建設工事をスタートさせた。
ヌサンタラの面積はニューヨーク市の約2倍。政府は緑に覆われた近代都市を造ると豪語している。
政府は森林、公園、食料生産をヌサンタラの基盤とし、再生可能エネルギー施設、「スマート」な廃棄物処理施設などを建設。グリーンビルディングを活用した未来型グリーンシティを構築するとしている。
グリーンビルディングは建築と敷地利用、エネルギーと水、資材の集積を高め、敷地・デザイン・建築・作業・維持・除去という建築ライフスタイルを通して、人間の健康と環境に良い影響を与える建築を行うことである。
ヌサンタラ首都圏庁の報道官はこの都市の設計と将来の課題について、「現在世界で起こっていること(地球温暖化など)を鑑み、未来的な考えを採用する必要がある」と述べている。
政府が公開した写真には並木道を歩く人々や植物で覆われたビル、池、小川など、緑豊かな都市が描かれている。
建物は近代的な形をした塔や伝統建築を組み合わせたものなどが採用され、同国の国章であるガルーダの形をした大統領官邸や、先住民族の伝統建築を様式化した建物が造られる予定だ。
ヌサンタラの開発は始まったばかりである。大統領府の報道官によると、インフラ事業は14%完了したという。
現場では約7000人の建設労働者が整地、測量、道路建設などを行っている。労働者の寮、一部の道路・ヘリポートはすでに使用されている。
大統領府などの主要な建物は2024年8月までに完成する予定だ。
首都移転プロジェクトは2019年に提案され、紆余曲折の末承認された。計画によると、政府は公務員約150万人を島に移転させる予定。
予算は明らかになっていないが、地元メディアは340億ドル(約4.6兆円)と報じている。