◎サイード氏は2021年7月末に当時の首相を解任したうえで議会を閉鎖し、権力を手中に収めた。
チュニジアの首都チュニスで4日、サイード(Kais Saied)大統領の弾圧とインフレに抗議するデモが行われ、数千人が参加した。
デモを主催した労働組合UGTT(チュニジア一般労働組合)はサイード氏に退陣を求め、国際社会に支援を呼びかけた。
サイード氏は2021年7月末に当時の首相を解任したうえで議会を閉鎖し、権力を手中に収めた。
野党と活動家はサイード氏の強硬措置をクーデターと非難し、各地で抗議デモを続けている。議会は昨年3月に解体され、12月に議会選が行われたものの、投票率は8.8%にとどまり、今年1月の第2回投票も悲惨な結果に終わった。
サイード氏は先月末、サヘル地域以南からチュニジアに入る不法移民が多くの犯罪に関与していると非難し、取り締まりを強化すると宣言した。
デモ隊はチュニス中心部の通りを行進し、最大の懸案事項であるインフレと食品不足に抗議した。
サイード政権と国際通貨基金(IMF)の融資交渉は難航している。IMFは政府に補助金の一部削減を含む歳出削減改革を要求している。
UGTTの書記長は演説で、「サイードは改革をめぐる以前の交渉を反故にした」と語った。
サイード氏は4日、UGTTが欧州労働組合連合(ETUC)の関係者をデモに招いたことを「受け入れがたい」と批判した。
ETUCの書記長は先月、チュニスのデモに参加した後、「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」に指定され、国外退去を命じられた。
サイード氏は声明で、「デモをしたい人は自由にすればいいが、外国人を参加させる必要はない」と述べている。
一方、コートジボワールとギニアはチュニジア当局が移民の取り締まりを強化したため、自国民を避難させるために政府専用機を派遣した。
サハラ以南のアフリカ人の中にはチュニスの国際移住機関(IOM)事務所前にテントを張り、保護を求めている者もいる。
チュニジア当局は4日、別の団体がチュニスで計画していたデモを「公共の安全を害す」として禁じた。野党指導者たちは街頭に出てシュプレヒコールを上げるよう呼びかけている。