◎セルビアは保守的な国であり、近年はポピュリスト政権下で右翼の過激派が勢力を伸ばしている。
セルビアの首都ベオグラードで3日、同性愛者に対する暴力事件を非難する集会が開かれ、LGBTQ+(性的少数者)の権利拡充を訴える活動家や団体が参加した。
デモ隊は同性愛者の男性が刺殺された事件などに抗議し、政府に断固とした行動を取るよう訴えた。地元メディアによると、警察はこの事件に関与したとされる2人を逮捕したという。
集会はベオグラード中心部にある公園で開かれた。
AP通信の取材に応じた活動家は、「人を人と思わない差別主義者による攻撃を決して許さない」と語った。
セルビアでは先月下旬にも同性愛者少なくとも3人が何者かに襲われ、このうち1人は瓶で殴られ重傷を負った。
デモ隊はレインボーフラッグやのぼりを掲げ、政府に対し、LGBTQコミュニティへの暴力を抑え、寛容を促進する取り組みを推し進めるよう要求した。
セルビアは保守的な国であり、近年はポピュリスト政権下で右翼の過激派が勢力を伸ばしている。
ブチッチ(Aleksandar Vucic)大統領はEU加盟を目指すにあたり、欧州委員会にLGBTQの権利を高めると約束したものの、地元メディアによると、LGBTQに対する嫌がらせや暴力が収まる兆しは見えないという。
3日の集会会場周辺には機動隊が配備され、厳重な警備の下で行われた。暴力や逮捕者は報告されていない。
集会に参加したという活動家はツイッターに、「警察が容疑者を逮捕したことは喜ばしいが、逮捕は始まりに過ぎない」と投稿した。「私たちはLGBTQを含む全セルビア人の基本的人権が保障される法改正を求めています...」
権利団体によると、昨年8月以降、同性愛者に対する傷害事件は68件報告されたという。
政府は昨年8月、欧州最大のLGBTQの祭典「ユーロプライド」の開催を禁じた。その後、政府は国際的な批判を受け開催を許可したものの、右翼から脅迫が相次いだ影響で規模は大幅に縮小された。