◎ドイツ環境省は有毒な藻類の増加と工業排水による塩分濃度の増加が大量死を招いた可能性が高いという見解を示している。
国際環境NGOグリーンピースは2日、ドイツとポーランドを流れるオーデル川で昨年発生した魚の大量死について、ポーランドの炭鉱による廃水の排出が原因である可能性が高いと発表した。
オーデル川の源流点はチェコ北東部の山脈。そこからポーランドとドイツを通過し、バルト海に流れ込む。延長は854km。流域面積約12万㎢のうちポーランドが89%、チェコが6%、ドイツが5%となっている。
ドイツ環境省は有毒な藻類の増加と工業排水による塩分濃度の増加が大量死を招いた可能性が高いという見解を示している。
グリーンピース・ポーランドは2日の声明で、「政府と炭鉱業界が早急に対策を講じなければ、今年も同じような問題が発生し、ポーランド最大の河川ビスワ川でも魚が大量死するかもしれない」と警告した。
同団体の研究チームによると、オーデル川とビスワ川の塩分濃度を測定した結果、ポーランド南部の炭鉱地域の下流の塩分濃度が特に高かったという。
研究チームは声明の中で、「オーデル川の塩分濃度上昇は、おそらく炭鉱地域から河川に流れ込む廃水が引き起こしたものである」と述べている。
グリーンピース・ポーランドは、「このままでは再び何百トンもの魚が死ぬ事態になりかねない」と警告し、政府に対し、オーデル川の一部地域を保護区に指定し、より厳しい排出制限を導入すべきと提案した。
また同団体は「鉱業や炭鉱業界などは環境保護対策にもっと投資すべき」と指摘した。
ポーランド政府は昨年、オーデル川流域における規制はすべて遵守されていると報告し、この災害は高温や干ばつなどの自然現象がもたらしたものという見解を示した。
EUの専門家チームが先月公表した分析によると、この災害の原因の一部は、石炭採掘などで発生する塩分を含む工業排水の排出によるものだという。
EUチームは分析の中でこの災害を「欧州における近年最悪の生態系災害のひとつ」と評価した。