◎欧米各国はウクライナに兵器と物資を送っているが、ロシア軍はこの数日、東部地域に多くの兵士を投入し、バフムート周辺で戦いを有利に進めているとみられる。
ウクライナのレズニコフ(Oleksiy Reznikov)国防相は5日、今月末にロシア軍が大規模攻勢を仕掛けてくるという見方を示した。
レズニコフ氏は記者会見で、「それまでに西側の兵器がすべて到着するとは思っていないが、ウクライナ軍には再攻撃に対処する蓄えがある」と述べた。
ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領も5日に公開した動画で、東部ドネツク州の要衝バフムートなどで激戦が続いていると報告。西側の同盟国に改めて軍事支援を求めた。
報道によると、レズニコフ氏はまもなく退任する予定。後任は国防省のキリロ・ブダノフ(Kyrylo Budanov)情報局長と伝えられている。
レズニコフ氏は一部の国防省関係者が兵糧を調達する際、公金を横領した疑いがあるというメディアの報道を否定している。
対ロシア交渉担当を務める連邦議会のアラカミア(David Arakhamia)議員は5日、「戦争が人事政策を決定する」と述べ、人事異動を発表した。レズニコフ氏は産業相に就任する予定だ。
ゼレンスキー氏はEU加盟の条件のひとつである汚職対策を推進している。
レズニコフ氏は記者会見の中で、「ロシアは侵略開始から1年を迎えるにあたり、国内に戦争は順調に進んでいるとアピールするために、何かしらの攻撃を仕掛けてくる可能性がある」と指摘した。
またレズニコフ氏は「ロシアは東部ドンバス全域の占領と南部への攻勢を優先させる」という見通しを示した。
ウクライナの戦車部隊は6日から独製戦車「レオパルト2」の訓練を受ける予定だ。英製戦車「チャレンジャー」の訓練もまもなく始まると伝えられている。
レズニコフ氏は米国がウクライナに対する22億ドル規模の追加軍事支援の一環として、精密誘導ロケット弾「地上発射型小直径爆弾(GLSDB)」の供与を決めたことについて、「ロシア領への攻撃には使わず、ウクライナの占領地にのみ使用する」と約束した。
GLSDBの最大射程は高軌道ロケット砲システム「ハイマース」のほぼ2倍、150km先の標的を攻撃できる。
レズニコフ氏は「戦争に勝つと確信している」と述べたが、欧米の戦闘機がなければ「より多くの人命が失われる」と強調した。
欧米各国はウクライナに兵器と物資を送っているが、ロシア軍はこの数日、東部地域に多くの兵士を投入し、バフムート周辺で戦いを有利に進めているとみられる。
ロシアの民間軍事会社ワグネルを率いるプリゴジン(Yevgeny Prigozhin)氏は5日、テレグラムに声明を投稿し、「バフムートの一部地域で激戦が続き、ウクライナ軍の激しい抵抗が続いている」と述べた。
ロシア軍は数カ月にわたってバフムートを攻め立てているが、ウクライナ軍の反攻に遭い、多くの兵士と兵器を失ったとみられる。
ロシアはバフムートに固執しているものの、欧米各国とアナリストはこの地域をロシア軍に奪われても戦況が大きく変わることはないと考えている。
ゼレンスキー氏はビデオ演説の中で「ドネツク州は非常に困難な状況にあり、各地で激しい戦闘が繰り広げられている」と述べた。
英国防省も5日、ロシア軍はバフムート包囲に向けゆっくり前進しており、市内のウクライナ軍は孤立しつつあると報告した。
また同省はバフムートに続く2つの主要幹線道路がロシア軍に脅かされていると指摘した。
東部ハルキウ州当局は5日、ロシア軍のロケット弾が市内のアパートを直撃し、民間人少なくとも5人が負傷したと発表した。
ドネツク州のキリレンコ(Pavlo Kyrylenko)知事もロシア軍のロケット攻撃で民間人5人が負傷したとテレグラムに投稿している。