◎当局のリュッツェラート奪還作戦は11日早朝から始まり、一部の活動家は花火や泥団子を投げつけて機動隊に反撃した。
ドイツ警察は15日、西部ノルトライン・ウェストファーレン州の廃村リュッツェラートに陣取った環境活動家をひとり残らず排除した。
この村の一部の住民は村をつぶして炭鉱を拡張する計画に反対する訴訟を起こし、敗れ、昨年国営電力会社RWEに土地を売却した。
しかし、環境活動家たちはドイツ政府の方針に反対し、村にキャンプを設置。住民に代わって当局の解体作業を阻止しようとしていた。
ドイツ通信社(dpa)によると、機動隊は村内の活動家約300人を排除したという。
当局のリュッツェラート奪還作戦は11日早朝から始まり、一部の活動家は花火や泥団子を投げつけて機動隊に反撃した。
村内の立坑に立てこもった活動家2人も排除されたと伝えられている。
地元警察の報道官はdpaの取材に対し、「村内に活動家はいない」と語った。なお、建物の撤去作業は13日に完了している。
警察によると、活動家が設置した木のオブジェと木造建築物もすべて撤去したという。
13日に行われた抗議デモにはスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリ(Greta Thunberg)さんも参戦し、警察に抗議した。
活動家たちは「石炭は地中に埋めておけ」「緑の党は嘘つきだ」などと叫んだ。
しかし、村の住民はRWEとの取引に合意し、最後の住民は1年以上前に引っ越している。
ショルツ政権は昨年、2030年までに石炭火力発電所を廃止する見返りとして、RWEにリュッツェラートを取り壊す許可を与えた。
与党社会民主党と連立を組む反原発の「緑の党」もロシアによるウクライナ侵攻がもたらしたエネルギー危機を乗り切るためには石炭が必要と訴えている。
RWEによると、この村の地下にある石炭の採掘作業は早ければ今冬にも始まる予定だという。
機動隊と活動家のにらみ合いは14日にエスカレートした。dpaによると、機動隊は放水砲と催涙スプレーを使って活動家を排除したという。
活動家チームの自称衛生兵はSNSに怒りの声明を投稿。「ドイツ軍の砲撃で戦士20人が負傷し、野戦病院に搬送された」と述べた。
地元警察によると、11日の作戦開始以来、警察官約70人が負傷したという。
グレタさんは15日、ツイッターに声明を投稿し、警察を非難した。「気候変動対策の重要性を訴える環境活動家を現場から排除しないでください!」
デモの主催者は14日の集会に約3万5000人が集まったと報告。警察は約1万5000人と見積もっている。